
狛犬が語る地域の歴史 ~厳原町浅藻編~
こんにちは、新年度の1ヶ月があっという間に過ぎて白目のエヌです。
最近はお休みの日に個人的に案内を頼まれる機会が多く、先日、厳原町浅藻(あざも)を訪問した際に多久頭魂神社(厳原町豆酘の神社と同名)に立ち寄りました。
ここには2組の狛犬があり、1組は対馬の名工・田崎亀次の中期の作品です。
もう1組の詳細は不明、と思っていましたが、台座に石工の名前が!(見落としていました)
その狛犬は、周防大島からやってきた?

こちらがその狛犬。
何度か見ているのに気付かなかった最下段の台座には、「石工 桺井町 加名生友治」の文字が!

「桺」は柳の旧字らしく、新字では「柳井町」。石工の名は「かのお ともはる」でしょうか。
「柳井町」は、愛媛県松山市柳井町、山口県柳井市(旧・玖珂郡柳井町、1905年-1954年)などの候補がありますが、「あっ!」と思ったのは後者。
浅藻は、おもに明治期に山口県周防大島の漁民が移住して形成された集落で、その歴史は名著「忘れられた日本人」(宮本常一。1960年岩波文庫)の梶田富五郎翁のエピソードで有名です。
↓宮本常一データベース キーワード「対馬」で、300枚以上の対馬の古写真を閲覧できます。
山口県柳井市は周防大島の対岸にあり、浅藻の人々が故郷近くの石工に依頼したのではないか、と思ったのです。
(「柳井狛犬」の特徴と合致しているのか、「山口狛犬楽会」の方に聞いてみます)
加名生友治の狛犬


(後日情報)
- 「加名生」(かなお/かのう)は、東京都に10名、山口県柳井市に10名ほどの希少な姓とのことで、柳井の石工の可能性が高いです。
- 「山口狛犬楽会」代表の藤井様より、山口県柳井市の「宮ヶ峠天神社」にある昭和7年建立の狛犬と類似している、との情報をいただきました。デザインも建立年の近さ(対馬:昭和9年と柳井市:昭和7年)も、深い関係性を感じさせます。
田崎亀次の狛犬
あ、田崎亀次の狛犬もあるので、あわせてお楽しみください(笑)


場所はこちら
>>多久頭魂神社(厳原町浅藻)(長崎県対馬市厳原町浅藻8-第49)
おまけ1

ちなみに多久頭魂神社には、浅藻の有力者「市丸貞五郎」氏が昭和19年に奉納した石碑があり、裏には「大東亜戦争強制応集」「戦争絶対追放」の文字が。
同氏の名前で戦意高揚につながるような石碑もいくつか設置されていましたが、大戦末期に実際に徴兵されて苦労したんでしょうね。
おまけ2
「七人の侍」(監督:黒澤 明、主演:志村喬、三船敏郎)のヒロイン「志乃」を演じた津島恵子さん(本名・森直子さん、旧姓・倉成さん)は浅藻出身です。
おまけ3
4月下旬の浅藻は、バードウォッチャーで賑わっておりました。
今年はヤマショウビンが見られるのでしょうか?


https://miyamoto-museum.jp/archives/12163
https://ja.wikipedia.org/wiki/津島恵子





