浅茅湾

魏志倭人伝~青銅器王国・対馬~

2022/07/07

コースの概要

 対馬に関する既述が最初に登場する文献は、弥生時代末期(3世紀)に編纂された中国の歴史書「魏志倭人伝」です。倭人伝において、対馬は最初に登場する倭国(日本)のクニであり、その描写は簡潔ながら現在の対馬の姿にも通じる名文として知られています。資料館を中心に、魏志倭人伝の時代の対馬をたどるルートです。

コース説明(魏志倭人伝について)

(朝鮮半島から)
「始めて一海を度(わた)る千余里、対馬国に至る。その大官を卑狗といい、副を卑奴母離(ひなもり)という。居る所絶島、方四百余里ばかり。土地は山険しく、深林多く、道路は禽鹿(きんろく)の小径(こみち)の如し。千余戸あり。良田なく、海物を食して自活し、船に乗りて南北に市糴(してき)す。」
(断崖絶壁が多く、山が深く、道は獣道のように細い。また、水田が少なく、海産物を食し、朝鮮半島と日本本土を往来して交易を行っている)

 倭人伝の頃の対馬の中心地についてはまだ特定されていませんが、遺跡・出土品などの状況から、上県町佐護(かみあがたまちさご)地域、峰町三根(みねまちみね)地域、豊玉町仁位(とよたままちにい)地域、美津島町鶏知(みつしままちけち)地域などに、交易を行い、墳墓を築いた実力者が存在していたと考えられています。
 特に、2000年に峰町の山辺(やんべ)遺跡で弥生時代の集落跡が確認され、対馬国の中心地として有力視されています。

所要時間

観光情報館ふれあい処つしま(対馬観光物産協会)
↓ 車で40分
美津島町小船越・西漕手
↓ 車で15分
豊玉町郷土館
↓ 車で5分
和多都美神社
↓ 車で5分
烏帽子岳展望所
↓ 車で25分
峰町歴史民俗資料館
↓ 車で60分
観光情報館ふれあい処つしま(対馬観光物産協会)

※(一社)対馬観光物産協会は、長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1 観光情報館ふれあい処つしま にあり、厳原港から車で3分、対馬空港からは車で20分です。

コース図

 >>モデルコース・歴史観光 – (5) 魏志倭人伝~青銅器王国・対馬~ (グーグルマップ)

ルート紹介

(一社)対馬観光物産協会

 観光情報の提供、パンフレットの請求はこちらまで。
【所在地】 〒817-0021
長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1
観光情報館ふれあい処つしま
【電話】 0920-52-1566
【アクセス】 厳原港から車で3分(徒歩10分)、対馬空港から車で20分。

(1)西漕手(にしのこいで)

 厳原港(対馬空港)から国道382号線を北上し、美津島町小船越(こふなこし)の公衆トイレ前で停車すると、小船越の説明板があります。左手の細いセメントの道を数分歩くと、眼前に古代の港「西漕手」が現れます。ここは浅茅湾と対馬海峡東水道がもっとも接近した地峡部で、大陸航路の重要な港のひとつでした。

(2)阿麻テ留(あまてる)神社

 近隣には、日本最初の寺院「梅林寺」や、日本書紀に登場する日神をまつる「阿麻テ留(あまてる)神社」(テは氏の下に一)があるなど、古代において重要な役割を果たした地域であることを物語っています。

(3)豊玉町郷土館

 豊玉町の縄文時代から古墳時代の遺跡から出土した考古資料を中心に展示しています。昭和41~42年に町内佐保の「シゲノダン遺跡」、「 佐保唐崎(さほとうさき)遺跡」 から当時国内では出土例がない朝鮮系の青銅器が発見されました。現在は東京国立博物館が所蔵しており、本館ではレプリカを展示しています。
詳しい場所は、上記のコース図(グーグルマップ)をご確認ください。

(4)和多都美(わたつみ)神社

 仁位川沿いに車を5分走らせると、古事記に登場する海神の娘・豊玉(とよたま)姫をまつる和多都美神社が見えてきます。倭人伝の使者たちも、海路の安全を各地の海神に祈願しながら航海を続けたのでしょうか。

(5)烏帽子岳(えぼしだけ)展望所

 烏帽子岳展望所の下の駐車場から階段を110段登ると山頂、そこから35段登ると360度のパノラマが楽しめる展望所です。浅茅湾を一望できるほか、気象条件がよければ韓国の山影、壱岐の島影を望むこともできます。

(6)峰町歴史民俗資料館

 峰町三根の国道382号線沿いに資料館があります。銅剣の把頭飾などの貴重な青銅器ほか、鹿笛や獣骨製の銛などが展示され、縄文時代から弥生時代の対馬の様子を伺うことができます。大量の石斧が展示されていますが、これは交易の材料(対馬からの輸出品)だったと考えられているそうです。

オプション 対馬北部の資料館と古墳めぐり

(6)峰町歴史民俗資料館
↓ 車で55分
(7)上対馬町歴史民俗資料館
↓ 車で1分
(8)塔の首遺跡
↓ 車で120分
観光情報館ふれあい処つしま(対馬観光物産協会)

(7)上対馬町歴史民俗資料館

 上対馬総合センター内にある歴史民俗資料室では、国指定史跡「塔の首遺跡」(とうのくびいせき)から出土した広鋒銅矛(ひろさきどうほこ)(複製)や遺跡の復元模型、「朝日山古墳」(市指定史跡)などの出土品を展示しています。

(8)塔の首遺跡

 弥生時代後期(紀元1~2世紀)の古墳で、広形銅矛などと一緒に、韓国の無文土器と弥生式土器が出土し、この時代の大陸との交流を示す重要な遺跡となっています。出土品は上対馬町歴史民俗資料館で展示されています。

青銅器について

 対馬からは140本を超える広形銅矛などの大量の青銅器が発見されており、「青銅器王国」と呼ばれています。鉄器の普及により廃品となった青銅器を朝鮮半島から持ち出し、鋳つぶして新たな銅器の原料として九州に運んでいた、とも考えられています。

 対馬の青銅器は、弥生時代後期の箱式石棺から出土するほか、神社や磐座(いわくら、神々の依り代)に奉納されていたり、集落近くの土中に埋められた状態(魔よけだと考えられている)で発見される場合もあります。現在、青銅器は錆びて「青銅色」になっていますが、本来は白銀~黄金色に輝く神器であり、権力・武力・祭祀などの王権の象徴でした。

スペシャルオプションツアー

 倭人伝のルートを実際にたどるなら、空路または航路で韓国に渡り、国際航路で対馬へ向かいましょう。倭人伝の「居る所絶島」の描写を実感できます。対馬からはジェットフォイルまたはフェリーでお隣の島・壱岐へ。壱岐には平成22年3月にオープンした一支国博物館があり、倭人伝時代の壱岐の様子を知ることができます。