対馬の砲台

対馬の砲台

2022/03/23

対馬の砲台について

対馬とロシアの関係

 幕末の文久元年(1861年)、対馬の中央に広がる浅茅湾(あそうわん)の芋崎を、ロシアの軍艦ポサドニック号が占拠するという事件が起きました。艦長ビリリョフは対馬藩の抗議を無視し、測量を行い、大船越瀬戸で番兵等を死傷させるといった暴挙にでました。
 さらに、兵舎を建築するなど長期滞在の構えを見せたため、幕府は外国奉行・小栗忠順を派遣するも交渉は難航。占拠から半年後、イギリス軍艦の圧力により(諸説あり)ロシア軍艦は対馬から撤退しました。
 時は帝国主義の時代。南下政策をとるロシアは、不凍港を求めて浅茅湾の占拠を目論み、一方のイギリスもまた、ロシアが撤退しなければ対馬を自ら占拠する計画だったといわれています。
 その後もロシアは露骨な南下政策を続け、日清戦争後の三国干渉を経て、日本とロシアの戦争は避けられない状況となり、軍事上の要衝であった対馬は東京湾に次いで要塞化されていきました。首都・東京の次に重要なのが、国境の島・対馬だったのです。
 日露戦争の日本海海戦において、東郷平八郎率いる連合艦隊は、ロシアのバルチック艦隊を一方的に撃破、日露戦争の勝利を決定的なものにします。対馬沖・日本海を主戦場としたこの海戦は、日本以外では一般的に「対馬海戦」(Battle of Tsushima)と呼ばれています。

 明治から昭和にかけ、対馬全体に31ヶ所もの砲台が設置されました。実戦で使われることはほとんどなかったものの、太平洋戦争末期、米軍による日本海側の都市への艦砲射撃が行われなかったのは、対馬要塞の抑止力によるものと言われています。

 対馬の城・砲台の多くは、国境の島として対外的な緊張にさらされ続けた数奇な歴史を、今に伝えているのです。

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対馬の砲台一覧

写真: 姫神山砲台

区分番号砲台名ふりがな起工(着工)竣工(完成)備砲
第一期1芋崎砲台いもざき明治20年4月明治21年9月28cm榴弾砲×4
 2大平(低)砲台おおひら(てい)明治20年4月明治21年10月12cmカノン砲×4
 3温江砲台ぬくえ明治20年4月明治21年8月12cmカノン砲×4
 4大石浦砲台おおいしうら明治20年9月明治21年10月28cm榴弾砲×6
第二期5四十八谷砲台しじゅうやたに明治31年8月明治33年3月28cm榴弾砲×6
 6大平(高)砲台おおひら(こう)明治31年10月明治34年10月12cmカノン砲×4
 7城山砲台じょうやま明治33年4月明治34年11月28cm榴弾砲×4
 8城山付属堡塁じょうやまふぞく明治33年4月明治34年11月9cm臼砲×4
 9上見坂堡塁かみざか明治33年4月明治35年11月9cmカノン砲×4、7cmカノン砲×4
 10根緒(嵐山)第一砲台(堡塁)ねお(あらしやま)明治34年8月明治36年3月12cmカノン砲×2
 11根緒(嵐山)第二砲台ねお(あらしやま)明治34年8月明治36年3月28cm榴弾砲×4
 12根緒(鶴岡)第三砲台ねお(つるおか)明治34年8月明治36年3月12cmカノン砲×2
 13姫神山砲台ひめがみやま明治33年2月明治34年11月28cm榴弾砲×6
 14折瀬ヶ鼻砲台おりせがばな明治33年12月明治35年4月12cmカノン砲×2
 15大山砲台おやま明治36年 
 16郷山砲台ごうやま明治37年8月明治38年10月28cm榴弾砲×4
 17多功﨑砲台たこうざき明治38年2月明治39年5月24cmカノン砲×2
 18樫岳砲台かしだけ明治37年9月明治39年2月28cm榴弾砲×4
第三期19竜ノ崎第1砲台たつのざき大正13年9月昭和4年3月50口径30cmカノン砲×2
 20竜ノ崎第2砲台たつのざき昭和8年8月昭和11年3月50口径30cmカノン砲×2
 21豊砲台とよ昭和4年5月昭和9年3月45口径40cmカノン砲×2
 22棹崎砲台さおざき昭和11年7月昭和13年3月四五式15cmカノン砲×4
 23豆酘崎砲台つつざき昭和11年11月昭和14年1月2連装15cmカノン砲×4
 24海栗島砲台うにじま昭和9年6月昭和10年7月四五式15cmカノン砲×4
 25郷﨑砲台ごうざき昭和9年7月昭和11年12月四五式15cmカノン砲×4
 26大崎山砲台おおさきやま昭和9年9月昭和11年8月四五式15cmカノン砲×4
 27西泊砲台にしどまり昭和12年6月昭和13年10月四五式15cmカノン砲×4
 28竹崎砲台たけざき昭和12年5月昭和13年9月四五式15cmカノン砲×2
 29臼崎砲台うすざき三八式野砲×2
 30小松崎砲台こまつざき三八式野砲×4
 31折瀬ヶ鼻砲台おりせがばな三八式野砲×2

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