島の東西を結ぶ軍事拠点 上見坂堡塁
上見坂堡塁について
上見坂堡塁(かみざかほうるい)は、明治34年から35年にかけて、厳原町内陸部に築造された堡塁(ほうるい。防御型陣地)です。戦後に上見坂公園として整備され、駐車場、トイレ、芝生広場、歌碑などが設置され、展望所からはリアス式海岸・浅茅湾(あそうわん)や霊峰・白嶽(しらたけ)を一望できます。背面には砲台の遺構を良好に残しています。
上見坂は古くから島の東西を結ぶ交通拠点・軍事拠点であり、小茂田浜(こもだはま。厳原町西海岸にあり、元寇の古戦場でもある)からのロシア兵の上陸を想定し、東部の厳原中心部や、美津島町鶏知の対馬要塞指令部、根緒砲台の背部などを守ることを目的としています。沿岸砲台に設置された28センチ榴弾砲ではなく、小型の9cmカノン砲を2門×2基の計4門が配備されました。
基本情報
名称
上見坂堡塁(かみざかほうるい)
所在地
長崎県対馬市厳原町西里・上見坂公園の背部 >>Googleマップ
起工
明治34年(1901年)8月
竣工
明治35年(1902年)11月
備砲
9㎝カノン砲×4門
コース所要時間
観光情報館ふれあい処つしま~上見坂公園まで9.1km(車移動可)
観光情報館ふれあい処つしま((一社)対馬観光物産協会)
↓ 車で20分(9.1km)
上見坂公園(駐車場)
↓ 徒歩3分
上見坂堡塁
↓ 車で20分(9.1km)
観光情報館ふれあい処つしま((一社)対馬観光物産協会)
※上記所要時間は、休憩・見学をのぞく移動時間です。見学時間を適宜追加してください。
※(一社)対馬観光物産協会は、「観光情報館ふれあい処つしま」(長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1)にあり、厳原港から車で北に3分、対馬空港からは車で南に20分です。
コース紹介
観光情報館ふれあい処つしま
観光情報の提供、パンフレットの請求はこちらまで。
【所在地】 〒817-0021
長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1
観光情報館ふれあい処つしま(一般社団法人 対馬観光物産協会)
【電話】 0920-52-1566
【アクセス】 厳原港から車で3分(徒歩10分)、対馬空港から車で20分。
県道44号線・佐須坂トンネル手前分岐
上見坂公園(堡塁)へ行くには、国道382号線上の対馬市立厳原中学校前を左(西)に進み、県道44号線に入ります。佐須坂トンネルの開通により島の東西の移動は劇的に短縮されましたが、上見坂公園は旧道上にあるので、あえてトンネル手前から左折して旧道に入ります。
上見坂公園・案内板
緑色の案内板に従って右折し、道なりに1.2km進むと上見坂公園です。
上見坂公園
上見坂公園には、駐車場、トイレ、展望所、観光案内板などがあります。
展望所の外観
コンクリート製の展望所までは、駐車場から徒歩3分ほど。
展望所からの眺望1
島の中央に広がるリアス式海岸・浅茅湾(あそうわん)や対馬空港の滑走路などを一望できます。
展望所からの眺望2
対馬を代表する霊峰・白嶽(しらたけ)や、国指定特別史跡・金田城跡がある城山(じょうやま)などの景観も楽しめます。
上見坂堡塁(かみざかほうるい)
展望所の裏にある遊歩道を5分ほど歩くと、雰囲気が一変し、明治時代の砲台跡が姿を現します。
砲兵詰所跡
説明板には「砲兵詰所跡」=兵の仮眠所とありますが、退避所などいろいろな説があるようです。
兵舎跡
説明板によると、この「兵舎跡」に100人程度が仮眠し、雨天時には火砲を格納した、とあります。
兵舎跡
内部に湿気予防の漆喰が塗られており、大砲・砲弾・火薬なども保管されていたのかもしれません。
井戸
高所に設置される砲台跡には、必ず井戸が併設されます。築造から100年以上が経過して強度が不明のため、絶対に井戸の上や周囲には近寄らないでください。
門柱跡
現在は公園側から堡塁内に入りますが、かつてはこちらが正門だったようです。内開きの扉だったらしく、半円の溝が確認できます。
便所跡
衛生面を考慮し、炊事場などから離れた場所に設置されています。
砲座
かつて9cmカノン砲が2門×2基設置されていた砲座跡です。
砲座
上見坂堡塁の大砲は小さく、姫神山砲台などで見かける花崗岩の頑丈な砲床は見られません。
塹壕(ざんごう)
防御陣地(陸戦砲台)に見られる塹壕がめぐらされています。ここに身を隠し、上陸してきた敵兵と銃撃戦を行うための仕組みです。
塹壕の突出部
死角を無くし、複数の角度から攻撃するためなのか、半円形の突出部が見られます。
対馬空港方向
帰路は往路と同じ道を戻りますが、対馬空港方向に抜けることもできます。公園入口を出た分岐点を、左に進めば観光情報館ふれあい処つしま方向、右に下っていけば対馬空港(美津島町鶏知、みつしままちけち)方向です。