オソロシドコロ

禁足地オソロシドコロ(八丁角・裏八丁角・不入坪)への行き方について

2022/05/02対馬神社群

 こんにちは、最近神社の問い合わせが多く、沼にはまりつつあるエヌです。

 早く日常世界に戻りたいのですが、対馬の神社もなかなか奥が深くてですね・・・(-_-;)

 さて、ホームページのアクセス状況を見てみると、

オソロシドコロ

の検索が意外に多く、その割には

行き方がわからない、なかなか現地に辿り着けない・・・

という声も多いので、その行き方を説明します。

(八丁角で迷子になっていた女性に道を教えた、という知り合いもいました。お互い、びっくりしますね・・・)

↓↓オソロシドコロの概要については、以下の記事をご覧ください↓

オソロシドコロとは

 さて、オソロシドコロは、龍良山(たてらやま・たてらさん)の南と北の斜面にある石積みの塔です。

 オソロシドコロ自体が聖地というより、

龍良山山頂を中心として広がる神域の南北出入口に張られた結界

 という表現が正しいと思います。

 対馬南部の豆酘(つつ)集落の人々に特に重視され、南側が八丁角(はっちょうかく)、北側が裏八丁角で、多久頭魂神社(たくずだまじんじゃ)境内にある不入坪(イラヌツボ)を含め、オソロシドコロと総称されています。
※「はっちょうかく」には、「丁」「町」また「角」「郭」などの表記もあります。

 言葉のインパクトが強すぎて「恐ろしどころ」と解釈され、メディアでは、ホラー・オカルト的に取り上げられることが多いのですが、神山の結界なので、敬意をこめた畏怖の気持ち、「畏ろしどころ」が実態に近いと思います。

 かつては日本中に原始林が広がり、神宿る聖域も全国あちこちにあったはずなのですが、日本の原始林はほぼ消滅し、面積の89%を山地が占める対馬でも、龍良山や白嶽、御岳など一部に限られています。

 龍良山は対馬独自の天道信仰の聖地なのですが、「天道法師」の伝承には、修験道(しゅげんどう)の開祖である役小角(えんのおづの)との共通点が多く(空を飛んだ、天皇の病気を治した、など)、修験道の影響を濃厚に受けているようです。

 私は裏八丁角~龍良山山頂~八丁角を歩いたことがあるのですが、古い時代にはこのルート(の逆ルート)を歩き、最も天に近い龍良山頂で祭祀を行っていたのではないか、と想像しています。

 で!

 今回は3つのオロソシドコロを回るコースを紹介します。

 裏八丁角と八丁角は迷いやすい龍良山中にあるので、登山アプリ(YAMAPなど)の利用を強くお勧めします。

 オソロシドコロだけではなく、「ふれあい処つしま」で対馬の概要を把握し、龍良山麓自然公園センターで対馬の地質や動植物について学び、龍良山の照葉樹原始林の雰囲気を楽しみ、多久頭魂神社の神聖な空気にも触れてみてくださいね。
 

オソロシドコロをめぐる(地図)

>>観光情報館 ふれあい処つしま~裏八丁角~不入坪~八丁角(Googleマップ)

オソロシドコロをめぐるルート

 「観光情報館 ふれあい処つしま」(対馬観光物産協会)から最初のオソロシドコロ「裏八丁角」までは、以下のページで詳しく紹介していますので、ご覧ください。

観光情報館 ふれあい処つしま
観光情報館 ふれあい処つしま

ちなみに行動起点となる「ふれあい処つしま」までは、
・対馬空港から国道382号を南下10.5km 路線バスあり または
・厳原港新国内ターミナルから0.9km 徒歩10分 です。

↓ 12.9km(車=タクシーまたはレンタカー) 県道24号→内山トンネル→県道192号

龍良山麓自然公園センター

龍良山自然公園センター
対馬市厳原町内山(住所上は豆酘) ツシマヤマネコ野生順化ステーション近くにある展示・解説施設。

↓ 0.6km (徒歩)

龍良山登山口

龍良山登山口
龍良山登山口 内山と豆酘をつなぐ林道の途中にあります。

↓ 0.2km (徒歩)

裏八丁角

裏八丁角
龍良山北面の山中(山頂に続く登山道の途中を少しだけ東に離れたところ)にあります。
裏八丁角
新調される前の鳥居はこんな感じ。より自然な印象。
樹霊のような巨木
樹霊のような巨木。
スダジイ
シンボルツリーのスダジイ。公園にもあるシイノキが、原始林ではこんな姿に。
鮎もどし自然公園
鮎もどし自然公園 龍良山のふもとに広がる花崗岩の一枚岩。

↓ 11.2km (車) 龍良山麓自然公園センターに戻り、県道192号→24号を西に豆酘へ!

不入坪(イラヌツボ)

多久頭魂神社境内の案内図
多久頭魂神社境内の案内図。

 不入坪は、多久頭魂神社(たくずだまじんじゃ、対馬市厳原町豆酘集落内)の社殿の前に広がる謎の空間です。注連縄で結界されています。

 対馬市厳原町豆酘には由緒ある神社が多く、亀卜(きぼく)や赤米神事が伝承されるなど、独特の文化が息づいています。

多久頭魂神社
多久頭魂神社 もともとは龍良山の遥拝所。

 境内には名神大社「高御魂神社」もあります。

御神木は「お堂のクス」。おそらく対馬最大のクスノキ。

↓ 6.1km (車)

八丁角手前の駐車スペース

駐車スペース 車数台分程度。

 対馬市厳原町浅藻集落の北、県道24号線との分岐点から車で農道?を1km北上します。道も駐車スペースも狭いので要注意。

先はこんな感じ。

↓ 0.2km (徒歩)

八丁角

八丁角 龍良山南側の山中にある石積みの結界です。

 鳥居、小さな社殿の横を過ぎ、森のなかに入っていくと、八丁角が姿を現します。かつては近づくことはもちろん、見てもいけない、という強烈なタブーの地でした。

県道24号(黄色)から狭い農道を北上
龍良山山頂から照葉樹原始林を一望。対面の増木庭山・矢立山は激しく伐採・植林されている。

 龍良山は、貴重な照葉樹原始林(縄文の森の生き残り)として、現在は国の天然記念物のほか遺伝資源保存林や鳥獣保護区など幾重にも保護されていますが、かつては周辺まで伐採や植林が迫り、これだけの面積の原始林が残されたのはまさに奇跡と言えます。

(龍良山北面(裏八丁角側)にはまとまった範囲の原始林が残されていますが、南面(八丁角側)は八丁角周辺も含めて大規模に植林されています。→Googleマップ

 龍良山の北にある対馬最高峰・矢立山(やたてやま)も、かつては鬱蒼とした原始林・神山でしたが、現在では山頂まで植林に覆われています。

 強い信仰・タブーが森を守り、信仰が失われた森は人の経済活動に吞み込まれてしまうのかもしれません。

豆酘崎
豆酘崎(つつざき)

 オソロシドコロを訪問した後は、豆酘集落を歩いたり、対馬南部の豆酘崎(つつざき)まで足を伸ばしてみてください。龍良山の信仰を守ってきた集落の雰囲気がよくわかると思います。