ゴーストオブツシマ、冥人奇譚と創作・伝承・史実について
こんにちは、エヌです。
お盆前に書いた前回のブログからだいぶ時間が経ってしまいましたが、神風級の台風が2回襲来したり、ゴーストオブツシマがアップデートされたり、いろいろあったので徐々に追いついていきたいと思います。
さて、今年2020年7月に発売され、全世界で大ヒットとなった「ゴーストオブツシマ(Ghost of Tsushima)」は、鎌倉時代の「対馬の元寇」を描いたプレステ4用のオープンワールド時代劇アクションゲームです。
すでにWikipediaにも長文の説明が加わり(ネタバレ注意)、YouTubeにも大量の動画があるので、本編の説明は省いて・・・。
発売から3か月後となる10月17日、オンライン協力型マルチプレイモード「Legends/冥人奇譚(くろうどきたん)」が追加アップデートされました。
本編は、「対馬の元寇」を生きた境井 仁(さかい じん)の苛烈な人生を描き、河童や天狗が登場するものの実は賊(人)の仕業であるなど、ほぼ「怪力乱神を語らない」リアルな物語だったのですが、冥人奇譚の予告動画では鳥居の向こうの対馬の魔界(?)が舞台で、冥人が4人いるなど、本編とはかなり異色な設定(ほぼ別ゲーム??)で、その整合性をどうするのか、気になっておりました。
で、実際にプレイしてみると・・・。
冥人奇譚の主人公(?)は、仁と同じ時代を生きる語り手の行善(ぎょうぜん)。
行善が聞き、多分に脚色を交えて語られる冥人の物語が「冥人奇譚」であるという設定なので、鬼や天狗、特殊能力などの「怪力乱神」もOKなのでした。
リアルと幻想をこういった形で切り分ける方法があったんですねー。すごい(-_-;)
また、オンラインで2人・4人が共闘するなど、本編とは異なる楽しみ方が提供され、今後もファンを喜ばせていくと思います。
で!
リアルと幻想に関してちょっと思ったのが、事実・史実とは何だろう、ということ。
例えば、蒙古襲来において、捕虜になった対馬島民は手に穴を開けられて船に吊るされた、などとよく言われるのですが、誰がそれを見て、伝えたのか。
このくだりは、当時、京でウワサになっていたことを日蓮上人が記録したものだと思うのですが、それが事実・現実かどうかの証明は難しいところ。
もちろん、そういったことがなかったという訳ではなく、そこまでひどくはなかった、その通りだった、もっとひどかった、などの可能性があるということ。
2度目の蒙古襲来となる「弘安の役」での対馬の被害は、記録がなく、はっきりしません。
記録されなければ「何もなかった」となり、ウワサ・想像が文字として記録されれば、史実として独り歩きしていく可能性もあるのです。
逆に、登場人物がすべて虚構であっても、感情移入できれば我々は「リアル」を感じます。
実際、ゴーストオブツシマに登場するのは、境井 仁をふくめほぼ架空の人物ですが、そこに描かれる愛憎や葛藤は非常にリアルで、感動的でした。
史実とは、創作とは、伝承とは、何か。
本編と冥人奇譚を通してそんなことを考えてみるのも、歴史とゲームの楽しみ方の一つではないか、と思います。
(制作会社Sucker Punchの思うツボや!)
あ、私はアクションは苦手なので、アップデートされた2周目モード(実質3周目)をちょこちょこ楽しんでいます。
もういっちょ!
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