白嶽

国境の島・対馬トレッキングツアー(山と溪谷×九州百名山スペシャル)

2022/04/30トレッキング,メディア

 こんにちは、定期健診に行ったら、胆嚢にポリープ、体重は減少、コレステロールは改善、身長は伸びていた(今ごろ?!)局長Nです。

 まあ、どうでもいい前振りはおいといて(-_-)//

 当協会では、3年前から福岡のアウトドアショップの皆さんに対馬の山岳やカヤックを体験していただき、ブログで情報発信を行う事業を行っていましたが、今回、不思議な縁で3名のスペシャルゲストにご来島いただき、トレッキング三昧の3日間(5/8~5/10)となりました。

【ゲスト】

 日本を代表する登山誌「山と溪谷」のK部長さん、「九州百名山」(山と溪谷社)のメイン著者IGさん、SAGAアウトドアガイドクラブの山岳ガイドIKさん。

【トレッキングツアー行程】

1日目 九州百名山「白嶽」(しらたけ)、縄文の森の生き残り「龍良山」(たてらやま)
2日目 韓国展望所、対馬野生生物保護センター、ツシマヤマネコ生息地「御岳」(みたけ)
3日目 防人が築いた古代山城「金田城」がある「城山」(じょうやま)

いずれも国の天然記念物や特別史跡に指定されている名山です。

白嶽

 ゲストの皆様は、前日に福岡で合流し、九州郵船の深夜フェリー(00:10博多港発)で対馬へ。朝7時に下船し、ホテル金石館でバイキングの朝食の後、白嶽へ。

ツシマナメクジ

 白嶽では珍しい植物をいろいろ観察でき、皆さん感激していましたが、希少植物は乱獲も激しいので、写真は割愛。

 代わりに、一部に熱心なファン(マニア?)がいるツシマナメクジを・・・。

白嶽神社

 原生林への入口、白嶽神社の鳥居です。

ギンリョウソウ

 原生林でよく見かけるギンリョウソウ(銀竜草)。

 菌類と共生するようになったため光合成の必要がなくなり、葉緑体を捨て、真っ白な姿に。

雄嶽

 白嶽はトトロの耳のような双児峰で、こちらは雄岳。

雄嶽山頂付近

「いやー、すごい高度感!」(Kさん)

雌嶽

 雄岳から見た雌岳。石英斑岩が白く輝き、天を衝くような美しい姿をしています。

謎の穴

 岩のテラスに移動し、一休みしていると、IKさんが岩にあいた穴を見つめていました。

「他の地域の山によく似た穴があるんです。古代人が、山頂近くの岩場を削り、神様に捧げる酒を注いでいた場所と考えられています」

オオルリ

 白嶽を満喫した帰路、登山者駐車場の近くでオオルリを発見!

 いまの時期によく鳴き声を聞きます。

龍良山登山口

 そして一行は、「縄文の森の生き残り」とされる照葉樹の原始林・龍良山へ。

 縄文時代には、西日本一帯が龍良山のように照葉樹の巨木に覆われていました。

 弥生時代になると、こうした神々の森は切り倒され、焼き払われ、人間が管理する里山へと変貌していきます。

原始林を歩く

 大学で森林の研究をしていたKさん、九州の山々を歩いているIGさん・IKさんも、龍良山の自然度の高さに驚いていました。

「九州には照葉樹の森は多いので見慣れているのだがこれほどの巨木の森には出会ったことがない」(IGさん)
「ブナ林だけが美しいのではなくシイやカシの照葉樹の森もこんなに素晴らしいのだ」(IGさん)

スダジイ

 シンボルツリー、龍良山のスダジイです。

 2つの山を堪能した後は、厳原港近くのユースホステル西山寺(せいざんじ)にチェックイン。

 シャワーで汗を流し、お食事は居酒屋・汐路(しおじ)へ。

イシガニ

 地元産のイシガニや・・・

刺し身

 新鮮なお刺身をいただきながら、山と対馬の話で盛り上がりました。

 2日目は、一気に北部へ。

 対馬の銘木「ヒトツバタゴ」の開花時期と重なったものの、今年の花のつきはいまいち。

ツシマヤマネコ

 環境省対馬野生生物保護センターを訪問し、皆さんが見たかったというツシマヤマネコとご対面。
 お昼寝中でした。

御岳登山口

 そして、ツシマヤマネコ生息地・御岳(みたけ)へ。

 この森には、大正時代までキタタキという日本最大級のキツツキ(北海道のクマゲラ級)が棲息し、森自体が国の天然記念物に指定されました。

 その後、キタタキは確認されず、指定は解除されたものの、同時にヤイロチョウなどの珍しい野鳥の繁殖地として再指定を受けました。

御岳を歩く

「ここはモミの大木が多くて、また違った雰囲気だなあ」(IKさん)

撮影に夢中

 ここも希少植物が多く、撮影に夢中のIGさんとIKさん(^^;)

御岳山頂

 御岳山頂にて。

御岳でオールフリー

 ちなみに、サントリーの担当者の方の趣味が山歩きで、「山で飲むならオールフリー」というキャンペーンを5/10から実施しています。

チョウセンイタチ?

 3日目、皆様をお迎えに行く途中、国道でチョウセンイタチらしき動物が交通事故に遭っていました。

 失われた生命は戻ってこないので、人にも動物にも優しい運転をお願いいたします。

城山

 やや霧がかかっていますが、城山から黒瀬集落を望みます。

 黒瀬は城山最寄りの集落で、住民は防人の末裔という伝説があります。

カギカズラ

 城山に多い「カギカズラ」。

 真ん中のフックが極端に肥大化しているのがわかりますか?
 (周辺のフックと比較してください)

ヤマボウシ

 同じく城山でよく見かけるヤマボウシはまだつぼみ。

 5月下旬には見頃を迎えるかと。

東南角石塁

 カメラを構えるIKさん。

南西部石塁

 1350年前に防人が築いた石垣が、風雪に耐えながら現存しています。

城山砲台

 7世紀の古代山城「金田城跡」とまったく同じ場所に、明治期の「城山砲台」「城山付属堡塁」が築かれています。

 1000年の時が過ぎても、「国防の最前線」対馬の位置づけは同じだったのです。

城山山頂

 城山山頂でもオールフリー(殴)

右翼観測所

 城山砲台右翼観測所でもオールフリー(殴)

 ちなみにアサヒビールさんは「対州馬が育つ対馬の環境保全に!」売り上げの1%を寄付するというキャンペーンをやっていました。

 大企業が地域振興に取り組んでくれるのは、ありがたいことです。

鋸割岩

 急斜面を下りながら、名所・鋸割岩を眺望。

 金田城の石塁(せきるい、城壁)に触れます。

 万葉集に歌を残した防人たちが、現にここにいたのです。

 三の城戸(きど)。どうやってこの巨石を組んだんでしょうか。

 楽しい3日間もここで終了。

 IGさんとIKさんは15:25の九州郵船フェリーで福岡へ。

 Kさんはさらに1泊して、ツシマヤマネコの痕跡を求めてふたたび御岳へ向かいました。

 私にとっても、雄大な自然と悠久の歴史、独自の生態系を育んできた対馬の山々の魅力を再認識した3日間となりました。

 ありがとうございました<(_ _)>

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国境の島・対馬トレッキングツアー

日時: 平成24年5月7日(月)~11日(金)
場所: 長崎県対馬市内の山々

5月7日(月)
夜、博多で合流。博多港ベイサイドプレイスの対馬行きフェリー乗場へ。九州郵船「フェリーちくし」00:10博多港発に乗船。

(参考)

  • 博多駅からベイサイドまでは西鉄バスを利用。博多駅センタービル前 E のりばから博多ふ頭行き 99番のバスで終点下車。17分、220円。
  • 福岡空港からは博多駅までは市営地下鉄で5分、250円。
  • 九州郵船フェリーは、片道2等(いわゆるザコ寝)3,560円+サーチャージ300円。片道1等(4人か8人の小部屋)は、5,160円+300円。

5月8日(火)
04:40対馬厳原港着、07:00まで船内滞在可。
厳原港から徒歩3分の金石館(きんせきかん)で朝食(バイキング840円。要予約)
9:30白嶽登山→11:00山頂→13:00下山口→13:30~14:30昼食→15:00~16:00竜良山登山(低域散策)→18:00夕食→ ユースホステル西山寺(せいざんじ)宿泊

(参考)

  • 厳原港から白嶽登山者駐車場(トイレあり)までは車で国道を北上、約30分、そこから一番奥の登山口までは約10分。
  • 厳原港から龍良山麓自然公園センター(駐車場・トイレあり)までは車で県道を南下、約25分。

5月9日(水)
08:00宿舎出発→10:00~10:45韓国展望所→11:00~11:15豊砲台跡→11:45~12:15昼食→12:45~13:30対馬野生生物保護センター→14:00~16:30ツシマヤマネコ生息地「御岳」(みたけ)→17:30~18:00烏帽子岳・和多都美神社→夕食→宿泊
5月10日(木) 城山(金田城跡)トレッキング。
08:00宿舎出発→09:00城山登山口→10:00山頂→11:00大吉戸神社・城戸まわり(山頂→海ルート)→12:30下山口→13:00~14:30空港周辺で買い物→15:00厳原港→15:25出港

5月11日(金)
Kさん: 御岳登山+ヤマネコセンター →ANA16:55対馬空港発