金田城

防人(さきもり)が築いた大要塞 金田城(かなたのき)をゆく

2021/07/13トレッキング,対馬の歴史

古代山城

 古代山城(こだいさんじょう)は、おもに7世紀後半に築かれた古代の山城のうち、朝鮮半島からの影響が強いと考えられ、築城に関して「日本書紀」などの文献になんらかの記載があるものを指します。

 築城の背景には、唐・新羅の連合軍による百済滅亡(660年)と、その救援に向かった倭国(日本)軍の壊滅=白村江の戦い(663年)という極度に緊張した国際情勢がありました。

 唐・新羅の脅威に直面した朝廷は、九州から瀬戸内・奈良へ至る軍事的要衝に古代山城を築き、防人を配置しましたが、対馬はその古代山城ネットワークの起点であり、国防の最前線だったのです。

  • 663年 白村江の戦い
  • 664年 水城(福岡県)を築く
  • 665年 大野城(福岡県)、基肄城(佐賀県)、長門城(山口県)を築く
  • 667年 屋嶋城(香川県)、高安城(奈良県)、金田城(長崎県対馬市)を築く

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国指定特別史跡

 「史跡」とは、古墳・貝塚・城跡などの遺跡のうち、歴史的・学術的な価値が高いと認められたものについて、国や地方公共団体が指定したものを指します。

 文化財保護法では、日本国にとって歴史上・学術上・芸術上・鑑賞上価値が高いものを文部大臣が「史跡」「名勝」「天然記念物」に指定できる、とされ、そのうち特に重要なものについては、「特別史跡」(特別名勝・特別天然記念物)に指定できる、とされています。

 「国指定特別史跡」は、「史跡のうち学術上の価値が特に高く、わが国文化の象徴たるもの」が指定の基準になっており、いわば「史跡の国宝」を意味するのです。

 対馬の「金田城跡」が昭和57年に、同じく壱岐の「原の辻遺跡」が平成12年に特別史跡に指定され、現在でも長崎県下の特別史跡はこの2件だけです。

 平成22年8月5日現在、国指定史跡は1,669件、同8月1日現在、特別史跡は61件が指定されており、特別史跡のリストには、

  • 五稜郭 (北海道)
  • 三内丸山遺跡 (青森県)
  • 江戸城跡 (東京)
  • 登呂遺跡 (静岡県)
  • 安土城跡・彦根城跡 (滋賀県)
  • 慈照寺(銀閣寺)庭園・鹿苑寺(金閣寺)庭園 (京都府)
  • 大坂城跡 (大阪府)
  • 姫路城跡 (兵庫県)
  • キトラ古墳・高松塚古墳・石舞台古墳・平城宮跡 (奈良県)
  • 厳島 (広島)
  • など、日本を代表する史跡が名を連ねています。九州では、
  • 王塚古墳  (福岡県)
  • 水城跡 (福岡県)
  • 大宰府跡 (福岡県)
  • 大野城跡 (福岡県)
  • 吉野ヶ里遺跡 (佐賀県)
  • 名護屋城跡並陣跡 (佐賀県)
  • 金田城跡 (長崎県)
  • 原の辻遺跡 (長崎県)
  • 熊本城跡 (熊本県)
  • 臼杵磨崖仏 附 日吉塔、嘉応二年在銘五輪塔 承安二年在銘五輪塔 (大分県)
  • 西都原古墳群 (宮崎県)
  • 基肄(椽)城跡 (福岡県・佐賀県)

 の12件が登録されていますが、水城跡・大野城跡・金田城跡・基肄(椽)城跡は、古代山城でかつ国指定特別史跡に指定されています。

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万葉集、防人の詩

 ちなみに、対馬の金田城には「防人」(さきもり、国境守備兵)が配置され、彼らの家族・国家・人生への想いが「万葉集」に「防人の詩」として記録されています。

 前置きが長くなりましたが(^^;)、今年10月30日(土)・31日(日)、「古代山城」&「国指定特別史跡」=「史跡の国宝」金田城跡を、海と陸から体験するイベントを開催いたします。
季節は秋、レジャーにも観光にも最適なシーズンです。

 この期に、国境の島・対馬の歴史・自然・マリンレジャーを満喫できる特別な2日間を一緒に過ごしてみませんか?

※金田城跡は、文化財としては「かねだじょうあと」、古くは「かなたのき」「かねたのき」、地元では城山(じょうやま)として親しまれています。

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