対馬の太陽神オヒデリ様と足の裏イタタの日
こんにちは、局長Nです。
昨日12/7(水)、対馬市厳原町阿連(いづはらまちあれ)に伝わる神事
「オヒデリ様の元山送り」
に参加しました。
民俗学的にも貴重ということで、地元CATVや新聞各社の取材、九州大学の学生さんなども参加していました。
「お日照様」神事のまとめ
- 阿連には式内社(平安時代に公に祭られた格の高い神社)の「雷命神社」があり、祭神は「雷命」(いかづちのみこと)。
- 雷命は、日本のほかの神々同様、旧暦の10月に出雲大社に旅立つため、阿連は一ヶ月間神様不在になる。(日本中から神々がいなくなるので「神無月」)
- 雷命のいない間、ふだんは山にいる「お日照様」に里に降りてもらい、村を守ってもらう。
- 雷命が阿連に帰ると、お日照様は旧11/1~11/8の間、一緒に暮らす。
- 旧11/9に、お日照様を元の山にお返しする「お日照様の元山(本山)送り」の神事が行われる。この時、お日照は懐妊していると考えられている。
- 雷命は竜神・水神・男神で、お日照様は太陽神・女神。この一連の神事は、雨と太陽がバランスよく結びつき、里に豊穣がもたらされる、という古い民俗世界を体現している。
過去のブログはこちら↓
>>「お日照(おひでり)様」神事について(ブログ 2012.12.26)
雷命神社社殿前のイチョウの大木が折れています。
(その数年前には、カヤの大木も折れました)
祭神「雷命」は、亀卜(きぼく。古代の占い)の神様なのですが、竜神・水神・雷神ともされており、竜巻や落雷で巨木も折られてしまうとか。
というよりも、竜神の棲む場所だからこそ祭り、社殿を造ったのかもしれませんね。
雷命神社でお祓いを受けた後、背中に御幣を刺してもらい、地元の方々と一緒に川を遡ります。
我々がお神輿(みこし)となって、オヒデリ様を山にお運びするのです。
子どもたちには特別な役割があり、先に猛ダッシュ。
初参加の協会女性陣は興味津々。
「このあと、裸足で川を遡っていくけど、大丈夫?」
「あー、全然大丈夫ですよ!」(会計担当K)(←このあと絶叫することになりますけどね)
「いざや、いざや、とのばらを、もとのお山にお送り申ーす!」
「おー!」
どんどん遡っていきます。
ここで、先回りしていた子どもたちが動物(シカ)に扮して、大声で大人を脅かします。
大人たちは、びっくりするのがお約束。
「わーっ!!」(子どもたち)
「うおっ!!」(←事前に説明していたのに、不意をつかれて本当にびっくりした観光チームM(-_-;))
ここから先はオヒデリ様の神聖な領域。
靴を脱いで歩きます。
「いたたっ!!マジっすか、これ!ギャー!!」(会計担当K)
川の途中にある、オヒデリ様の祠に到着。
御幣を納め、ロウソクに火を灯し、子どもたちからお年寄りまで一緒に祈りを捧げます。
太陽(オヒデリ様)と雨(雷命)が調和し、里に平安と豊穣がもたらされるのです。
ちなみに雷命は、日本中の神様が出雲大社に集まる縁結び会議の帰りなので、神事に参加すればよいご縁に恵まれるかもしれません。
(家庭も職場も人生も、すべては人の縁の上に築かれていくので)
なぜか地元CATVの取材をうけている協会スタッフ・のんちゃそ。 (裸足で)
※本人の希望により写真を加工しています。
帰りも当然、裸足です。
「イタィィィィ!!」 (会計K)
「あら?裸足? 靴下はいててよかったのに」(地元の方)
(早く、言えェェェェェ!!) (Kの心の声)
写真で確認すると、地元の方は靴下をはいています。
あー、靴下オーケーだったんですねー、知らなかったなー(棒読み)
ちなみに漢字で書くと、「御日照」様。
優しい日光の恵みの和の側面と、時には旱魃(かんばつ)をもたらす荒ぶる魂を感じさせます。
ブリとそば粉をいただきました。
集落では、対馬の郷土料理「ろくべえ」の材料となる「せん」が作られていました。
サツマイモを砕いて発酵させ、でんぷんを取り出すのですが、とても手間がかかります。
冬に備え、大根が干されています。
同じくサツマイモの切り干し。
食物繊維も豊富で、囲炉裏やストーブであぶると、やさしい甘みがあって滋味たっぷり。
オヒデリ様を紹介するにあたり、「秘祭」「奇祭」という冠も考えたのですが、むしろこちらが本来の祭りの姿のような気がします。
阿連(あれ)という集落は、「対馬の半農半漁の暮らしの原風景」であり、神事もごく当たり前のように生活に溶けこんでいるんだなあ、とあらためて感じました。
夜になっても、足の裏がホカホカしています。
足の裏は第2の心臓とも言われ、たまには裸足で歩くのもよいのかも。
来年参加したい思った方は、ぜひ裸足で!!(殴)