ピッケル

「ながさきにこり」とピッケル職人の話

2022/04/30トレッキング,メディア

 みなさま、こんにちは。観光担当Nです。

 2011年8月4日(木)~5日(金)の2日間、「ながさき にこり」の取材協力を行いました。

 「にこり」は、長崎県下の各地域に焦点をあてて人物や歴史、特産品などを紹介する県の広報誌ですが、写真を贅沢に使った、機内誌のような充実した紙面が特徴です。

 今回の特集は、対馬市南部の旧2町「厳原町(いづはらまち)」と「美津島町(みつしままち)」で、内容は以下のとおり

厳原町の史跡探訪 / 美津島町のシーカヤックと金田城 / 対馬のグルメ / 伝統的な風景・石屋根 / ピッケル職人 小島進さん /塩作り 白松

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 今回の取材協力で一番印象的だったのが、厳原町久根浜のピッケル鍛治職人・小島 進さんとキイさんご夫妻。

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 ピッケルは雪山登山時に使用するつるはし状の道具で、命を預かるため、登山家の魂とまで言われる大事なものなのですが、そもそも雪が積もらない対馬では使う機会がないものです。

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 村の鍛冶屋として働いていた小島さんは、かつて日本刀の製作を志したことがあり、その時に相談に乗ってもらった厳原警察署長さんの勧めでピッケルを作り始めました。

 最初はまったく手探り状態でしたが、その出来は評判となり、厳原警察から県警へ、そして警察庁から「山と溪谷社」へと話が伝わり、海外の登山家からも注文があったそうです。

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 小島さんのピッケルは2種類あり、ひとつは、結婚・退職祝いなどの贈答用で、柄が短くて複雑な装飾が施されたもの。

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 石突き(ピッケルの下部先端)の装飾も繊細です。下絵を描かず、直接タガネを打ちこむそうです。

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 もうひとつは、柄が長く、強度を重視した実用品です。柄の部分はイスノキの芯。

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 何年も使い続けるうちに柄の部分がへこんでしまったハンマーにびっくりです。

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 ピッケルは機械では作れないため、キイさん(奥様)が3.5キロのハンマーを打ち下ろし、夫婦で呼吸をあわせて、すべて手作りです。

 これまで作り続けたピッケルは約2000本。職人の人生を感じる取材となりました。

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 美津島町緒方(おかた)では、「対馬ひめがみ」の皆さんを取材。「ひめがみ漬け」は、剣先イカの耳だけを麹に漬けこんで作る塩辛の一種で、緒方地区だけに伝わる郷土料理です。

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 青空の下、シーカヤックで国指定特別史跡・金田城を目指しました。

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 石屋根倉庫で涼んでいた地元のおばちゃまたち。井戸端会議ならぬ、石屋根会議に花が咲きます。

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 塩作りの白松さんでは、従来の重油を燃やすボイラーを廃止し、対馬の間伐材を破砕したバイオマスチップを燃焼させるボイラーを導入。

 おいしい塩づくりと環境問題対策の両立に取り組んでいます。

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 こちらが白松さんの「浜御塩 えこそると」。今年のカルビー夏ポテトに使用されています。

「にこり」は、2011年9月26日に発行予定。

長崎県広報誌「ながさきにこり」 (バックナンバーもあり