「光るキノコ観察会」について(報告)
こんにちは、6/17(土)の「光るキノコ観察会」が無事終了し、ひと安心しているエヌです。
6月になってほぼ降雨がなく、当日までドキドキしていましたが、15名の方(小学生2名、観光客2名ふくむ)にご参加いただき、なんとか光るキノコ「シイノトモシビタケ」やツシマヒメボタル、ゲンジボタル、アキマドボタル(幼虫)を観察することができました!
光るキノコ観察会
さて、イベント当日の流れです。
安全面を考え、まだ周囲が少し明るい19:45から 龍良山麓自然公園センター駐車場(長崎県対馬市厳原町豆酘 西龍良1249)で受付開始。
光るキノコが目視できるようになるのは20:30ころなので、30分ほどミニ講座を実施しました。
協会のイベントでは、「講座だけ=現地を知らない」「現地だけ=遠足で終わる」にならないよう、ミニ講座で背景を学び、そのあと現地で経験、という流れを心掛けています。
ミニ講座の内容
- キノコとは、光るキノコの発生条件、6月の天気(気温・湿度)
- 光について、生物が光る理由、対馬で見られる光る生き物(ゲンジボタル、アキマドボタルなど)
- 光るキノコ「シイノトモシビタケ」「ヤコウタケ」などの全国の分布・記録、対馬の記録
- 光るキノコの撮影法(マニュアルフォーカス、シャッタースピード、三脚、マクロ)
- 原始林について、対馬の森・植生、信仰と原始林
- 夜の森散策の注意事項
さて、20:30になり、出発!
夜の登山は危険なので、今回は観察ポイントを林道(200m)に設定しました。
林内で立ち止まり、全員のヘッドライトを消すと、ふだん体験することがない漆黒の闇が・・・。
ツシマヒメボタルがチカチカとフラッシュ光を発していました。
途中の渓流ではゲンジボタルも観察できました。
3cmほどもあるアキマドボタルの幼虫も!
・・・が
登山口を折り返しても肝心の光るキノコはほぼ発生しておらず、参加者の皆さんは、2ミリほどの幼菌を探す、というマニアックな方向に・・・。
「たくさん発生している時は、10m先でもわかりますよ!」
という私の言葉が、詐欺師のように夜の森に響きます・・・。
参加者の声
「光るキノコって、2~3ミリなんやねー」
(いや、2~3cmにはなります!)
「かろうじて光るキノコ、やねー」
(傘が開けば、ヒダも明るいよ!)
「めっちゃ少ないねー」
(雨が降った3日後くらいが狙い目です!)
私の焦りが頂点に達し、場の空気を変えるには一発ギャグ(スタッフ・キジトラ担当)とかモノマネ(スタッフ・きょーぺー担当)を披露するしかないのか!?と真剣に考えていると、下見の際に見つけていた倒木に、光るキノコが・・・(しかも複数!)
胸をなでおろしながら、光るキノコについて説明し、(ミニ講座で説明した)撮影方法を実演しました。
撮影方法
- 暗闇ではオートフォーカスが効かないのでマニュアルでピント(被写体までの距離)を設定。
- シャッタースピードを30~60秒などに設定。
- 三脚を使う(地面近くを撮影するので、ミニ三脚がよい)などなど。
その後、ツシマヒメボタルも増え(22時ころが見ごろ)、なんとか観察会は成立したのでした。
光るキノコへのこだわり
今回のイベントの下見も兼ね、周囲の不審な眼にさらされながら(というか呆られながら)、夜の原始林や上見坂公園に何度も通ったのには訳があります。
シイノトモシビタケは、約70年前に八丈島で発見され、その後、三重・和歌山などの太平洋側、兵庫の六甲山系、九州の山地や離島などで発見されています。
いまのところ日本特産種で、シイの倒木などに発生することから、西日本一帯に照葉樹(シイ、カシ、ヤブツバキなど)の原始林が広がっていた縄文時代の梅雨時には、いたるところでキノコが光っていたのかもしれません。
光るキノコもホタルも小さな生き物で、環境の変化に弱く、観察できる場所も限られていますが、対馬の古い森(それは日本の古い森でもある)の姿を今に伝えているのではないか、と感じています。
対馬には国レベルの天然記念物や文化財が多く、いわば島そのものが日本国民(というか世界)の共有財産だと個人的に思っているのですが、肝心の対馬の人がその価値を知らなければ、簡単に捨てたり売ったりしてしまいます。
今後も、対馬の面白さを島内外の方と共有し、次の世代に伝え、残していくために、講座や観察会を実施していきたいと思っています。
今回参加いただいた、地元の皆様、観光客の方々、ありがとうございました!
スタッフの皆さん、土曜の夜遅くまでお疲れ様でした!
おまけ
私は気づかなかったのですが、林道に入る前に、光柱(こうちゅう)現象が発生していたそうです。
(不覚!)
↓漁火光柱に関する参考新聞記事
>>夏の遠野、夜空に謎の光 正体は「漁火光柱」?(岩手日報2022.09.01)