新たな狛犬と石工を巡る旅(2026年3月)

対馬の狛犬

 こんにちは、一雨ごとに春の訪れを感じてソワソワしているエヌです。

 さて、おかげさまで2月に発行した「対馬狛犬図鑑」は、狛犬愛好者の方に好評のようです。
(ありがとうございます!)

 で!!

 その後も、意外な発見がありましたのでお知らせします。

石工 中尾政雄(有江政雄)の狛犬

 対馬空港の近く、長崎県対馬市美津島町鶏知(けち)の「樽ヶ浜」(たるがはま)という地区に、金比羅神社があります。

金比羅神社(長崎県対馬市美津島町鶏知)>> Googleマップ

 ここに、昭和28年3月10日(1953年)に奉納された、短足・ユーモラスな表情が特徴の有江型の狛犬がいるのですが・・・

 台座には「尾崎村 石工 中尾政雄」の文字が。

 以前、ご子孫の有江さんから、石工の有江政雄さんは中尾石材店に婿入りしたというお話を伺っており、太祝詞神社(美津島町加志)と同一の石工の作品であると思われます。

 さらに、同神社の石灯籠には 石工 徳永宇太郎 の名前が・・・。
(石工、どんどん出てくる!)

【参考】
太祝詞神社(長崎県対馬市美津島町加志) >> Googleマップ
奉納年 昭和13年9月9日(1938年)
石工 尾崎村 有江 政雄

石工 金原嘉七の狛犬

 古代山城・金田城のふもとに、シーカヤックや船、あるいは金田城トレッキングでしか行けない「大吉戸神社」(おおきどじんじゃ)が鎮座しています。

大吉戸神社(長崎県対馬市美津島町黒瀬) >> Googleマップ

 ここに、石工 金原一族(金原嘉七、金原清一、金原長次郎)の狛犬があり、

 明治36年(1903年)に奉納され、大きさ、表情、口中のコロコロ石の加工技術など、かなり魅力的な狛犬なのですが・・・

 こちらは、和多都美神社(わたつみじんじゃ)の狛犬。

和多都美神社(長崎県対馬市豊玉町仁位55) >> Googleマップ

 台座には、明治20年(1887年)、「佐賀縣小城郡 石工 金原嘉七」の名前が刻まれていました。

 金原嘉七は、明治時代の佐賀の石工さんで、明治20年に和多都美神社に、明治36年に大吉戸神社に狛犬を奉納していたのです。

 比較すると、大きな丸い頭部、ギョロリとした目の表現、鼻の造形などの共通点はあるものの、前者はアゴヒゲなどが豊かなのに、後者は装飾がほぼないなどの違いが見られます。

 作者(石工)が判明すると、それぞれ点であった2組(以上)の狛犬から、石工の技術や好みの推移、人生、物語が見えてきますね(私だけ?)。

太平寺の屋根瓦・狛犬

 お彼岸に太平寺(厳原町中村)を訪れ、屋根の上に瓦狛犬を発見しました。

太平寺(長崎県対馬市厳原町中村621) >> Googleマップ

 胡禄神社(上対馬町琴)、修林寺(豊玉町曽)、国分寺(厳原町)に続き、4組目です。

 お寺の改修時などに比較的新しく設置するもののようなので、探せばまだまだありそうです。

下ノ関の狛犬

 そして某所で、下ノ関の石工の名前(不鮮明)が彫られた江戸時代(文政八年・1825年)の狛犬を確認しました。

 奉納者(?)は、「防州馬島住 桝屋嘉名次○」。

 江戸時代に、瀬戸内海の小さな島・馬島(現・山口県熊毛郡田布施町)からやってきたのでしょうか?(漁師?商人?)

>> 馬島(山口県熊毛郡田布施町) >> Googleマップ

無人島の狛犬

 あとは、無人島・鹿ノ島の志賀神社(対馬市美津島町今里)の狛犬ですねー。

>> 鹿ノ島(長崎県対馬市美津島町今里) >> Googleマップ

おまけ・獅子山(東京都墨田区)

 この3月に東京に用事があり、空き時間に「牛嶋神社」(東京都墨田区向島1-4-5)を訪れました。

 860年創建の古社で、お目当ては「獅子山」。
 制作は江戸時代、文政10年(1827年)。

 親獅子が仔獅子を千尋の谷に突き落とす、という伝承を再現したダイナミックな作品で、狛犬彫刻の究極形かな、と思います。

(残念ながら時間外だったのですが、写真だけ撮ることができました)

 ちなみに同社は、ゲゲゲの鬼太郎でおなじみの妖怪「牛鬼」(ぎゅうき/うしおに)の伝承でも知られる場所です。

 狛犬好きも妖怪ファンも楽しめる、非常に濃いスポットでした。