カッパ狛犬と最古の石工について ~対馬の狛犬(略)その5~

2025/02/15対馬の狛犬,対馬神社群

 こんにちは、最近、狛犬に呼ばれている(ような気がする)エヌです。

 たとえば・・・

 先日、「対馬六観音まいり」(詳しくは先日のブログを見てくださいね)の打ち合わせで国昌寺に行くと、狛犬が目に飛びこんできました。

日蓮宗・国昌寺の石塔と狛犬

 江戸時代まで神仏習合(神道と仏教が融合すること)が当たり前だったので、お寺に狛犬があることは不思議ではないのですが、いままで(お寺は)ノーマークだったので嬉しい発見です。

製作者・製作年などは不明

 岩永系かと思いましたが、詳細は不明。

※岩永系 ・・・ 石工 岩永さんまたは岩永石材店(厳原町)作の狛犬で、アーモンド形の眼が特徴。(個人的な分類です)

ザビエル風?

 で、ふと、気になったのが頭の上のセメント・・・

 補修かな?と思いましたが、他の岩永系の狛犬にも同じ跡があるんですよね。

乙宮神社(厳原町上槻)の狛犬。頭にセメントの皿が・・・

 これはちょっとして・・・

 実は、頭に凹みがあるタイプの狛犬があり、お賽銭を置く、灯明(ろうそく)を設置する、水害を防ぐ祈りが込められている、などの説があります。

>> 「カッパ狛犬が、常堅寺にいますよ」(岩手県立遠野高等学校 note)

後ろ姿はぽっちゃり形

 まさか、河童(カッパ)狛犬が対馬にもあるとは・・・

 今後は、頭の凹み、お皿も要チェックです!

(この話、ついてきてますか?)

>>日蓮宗 国昌寺 (長崎県対馬市厳原町大手橋1128) Googleマップ

江戸時代の石灯籠などが多い金比羅神社

 さらに、事務所に戻る途中に、現時点で対馬で2番目に古い狛犬(1番目は厳原八幡宮)の写真を撮るために、「味処 千両」さん裏の金比羅神社に行ってみました。

大きな口が特徴

 表情が個性的!(手塚漫画風!)

江戸時代のデザインとは思えない愛らしさ

 角がある!(獅子には角がなく、狛犬には角があります)

台座には奉納年月、世話人などの情報が刻まれています。

 文政七年八月吉日といえば1824年。なんと200年前!

 狛犬の土台の裏に文字が刻まれており、暗くてよく見えなかったので、スマホのライトを当ててみると・・・

「赤間関 石工 清兵衛」

 江戸時代の赤間関の石工・清兵衛さんがこの狛犬を彫り、それが200年の時を経て、対馬の地にあることに感激しました。(私、病気ですかね?)

>> 金比羅神社(長崎県対馬市厳原町田渕1079) Googleマップ

宮内庁・安徳天皇御陵墓参考地(厳原町久根田舎)

 ちなみに赤間関は、現在の山口県下関赤間町で、源平合戦の最終局面・壇ノ浦の合戦で、幼い安徳帝が海に沈んだことで有名ですが、実は安徳帝は落ちのび、対馬で余生を送ったという伝承があります。

>> 安徳天皇御陵墓参考地(長崎県対馬市厳原町久根田舎) Googleマップ

 対馬の狛犬の分類に「カッパ狛犬」が、そして対馬の石工に清兵衛さんが加わった、記念すべき日になりました。

(周囲の眼は真冬の気温のように冷たいけど、オラ、負けないぞ!)