対馬の狛犬の類型・デザインについて
こんにちは、最近、狛犬に興味を持っているエヌです。(忙しいな!)
対馬神社ガイドブック を作成した際に、狛犬の撮影もしていたのですが、狛犬の類型(お座り型、玉乗り型、構え型など)や、デザイン(製作者や工房の個性)の共通性、製作年代、作者にも興味が湧いてきました。
今後、少しずつ調査をしていきたいのですが、類型やデザインの面白さについて、ちょこっと紹介します(伝わるのか?!)
ちなみに、狛犬についての概要はこちら(神社本庁)
一番古い狛犬
現時点で、対馬で一番古い狛犬は、厳原八幡宮の階段上にあり、文化4年(1807年)丁卯正月の日付が刻まれています。
古い狛犬は花崗岩製で、表面が風化しているものが多いのですが、この狛犬は彫りが鮮明です。
(明治期以降は、繊細な彫刻が可能な砂岩製が増えます)
まだほとんど調査していないので、もっと古い狛犬が見つかる可能性も大です。
狛犬の製作者
狛犬の台座には、発注者(個人名、〇〇氏子中など)、製作年月日(昭和〇年〇月吉日など)が刻まれていることが多く、まれに製作者名(石工 〇〇など)が記されているものがあります。
田崎 亀次
田崎亀次は、1888(明治21)年生~1946(昭和21)没、現在の対馬市豊玉町大石に住み、狛犬などを製作した石工・彫刻家です。
住吉神社(美津島町鶏知)、多久頭魂神社(厳原町浅藻)、豊崎神社(上対馬町比田勝)などの狛犬を手掛けています。
有江 政雄
太祝詞神社(対馬市美津島町加志)の狛犬には、「石工 尾崎村 有江 政雄」の銘が刻まれています。
表情豊かなユーモラスな作風で、雷命神社(厳原町阿連)、天神神社(美津島町吹崎)、海祇神社(美津島町島山)、屋利止加神社(豊玉町鑓川、花崗岩製)などに共通点が見られます。
岩永〇六 ※〇は不明
厳原八幡宮の一番手前の狛犬には、岩永〇六と石工の名前が刻まれているのですが、〇が、真にも安にも他の文字にも見えます。
どなたか情報ください・・・。
狛犬の類型(パターン)
上記の狛犬はいわゆる「お座り型」ですが、「玉乗り型」、「構え型」など様々な類型があります。
玉乗り型
広島に多く、九州にまで広まっている形だとか。阿麻テ留神社(美津島町小船越。テ=氏の下に一)、恵比寿神社(美津島町賀谷)ほか。
構え型
前身を伏せ、腰を高く上げ、今にも飛びかかりそうな躍動的なデザインです。
嵯峨神社(豊玉町嵯峨)、乙宮神社(豊玉町糸瀬)、鹿見本神社(上県町鹿見)など。
個人的には、天神神社(豊玉町小綱)が素晴らしいと思います。
お座り(細)型
既出の田崎亀次の住吉神社(鶏知)の狛犬が典型的なデザインで、垂れた耳、細身などが特徴。対馬で一番多く見かけます。
吠え型
阿(あ。口を開けている)も、吽(うん。閉じている)もどちらも歯をむき出しており、激しく吠えている、唸り声をあげているように見えます。
典型は、行相神社(豊玉町田)です。
現代型
昭和~平成時代に愛知県岡崎市で大量生産された「岡崎現代型」。
完成されたデザインなのですが、日本中どこにでもあります・・・。
独自路線
そのほか、銀山上神社(厳原町久根田舎)、和多都美御子神社(豊玉町仁位)など様々なデザインの狛犬があります。
いちばんかわいい狛犬(独断)は、入江神社(豊玉町嵯峨。字名?は水崎)にあります。
神社はほぼ全集落にあり、長い年月にわたって地域の祈り(大漁祈願や豊穣、住民の安全、一年の吉凶判断、戦勝祈願など)が捧げられてきました。神社や狛犬を通して、地域の暮らしが見えてくるような気がします。
今年の初詣は、狛犬にも注目して神社めぐりをしてみませんか?
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