「山から見た対馬」 その2 島山~砲台ハンマーヘッド~

2022/04/06トレッキング,対馬砲台群

 こんにちは、最近また、時間を見つけて対馬の山中をさまよっているエヌです。

 →「山から見た対馬」シリーズについて

 前回に引き続き、今回も砲台ネタで、ターゲットは「島山(しまやま)」です。

「山から見た対馬」 その1 芋崎半島~対馬とロシアについて~(2022/3/28)

島山とは?

 島山は、対馬の中央に広がるリアス式海岸・浅茅湾(あそうわん)の東側に浮かぶ大きな島です。

 いわば離島のなかの離島だったのですが、平成6年に「浅茅パールブリッジ」が完成・開通し、陸続き(?)になりました。

浅茅パールブリッジの設計・施工(川田工業株式会社)pdfファイル

 島山には、明治期、ロシア軍艦の浅茅湾侵入を抑止するため、「四十八谷砲台(しじゅうやたにほうだい)」が築かれました。

 10年ほど前にシーカヤックで訪問したことがあるのですが、今回は陸路で砲台を目指してみました。

島山の場所

山から見た対馬02~島山(曲網代岳・四十八谷砲台・島左近の墓・メボシマ山・御岳)~ / エヌの世界さんの曲網代岳メボシマ山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

曲網代岳(まがらじろだけ)へ寄り道

 島山の入口は、万関(まんぜき)から国道382号線を2kmほど北上し、西へ。
(よく「あそうベイパーク」の入口と間違われますが、少し北です)

浅茅パールブリッジ

 そのまま西に進み、浅茅パールブリッジを渡ると、島山です。

狭瀬戸(せばせと)

 橋の下は、狭瀬戸(せばせど)と呼ばれる景勝地です。

曲網代岳(まがらじろだけ)登山道1

 四十八谷砲台に向かう前に、「曲網代岳(まがらじろだけ)」に寄り道してみました。

曲網代岳(まがらじろだけ)登山道2

 伐採作業道が整備され、歩きやすく、解放感があります。地層(堆積岩)なども楽しめます。

曲網代岳(まがらじろだけ)を望む

 そのまま作業道を進むと、曲網代岳の山頂に続く尾根道へ到達。

曲網代岳(まがらじろだけ)山頂直下

 写真は山頂直下の(かなり)急傾斜ルート。山頂からは緩傾斜ルートもあったので、そちらをお勧めします。

曲網代岳(まがらじろだけ)山頂直下三等三角点

 山頂には三等三角点が。眺めもよく、日当たりもいい感じ。

曲網代岳(まがらじろだけ)緩傾斜ルート

 山頂からの緩傾斜ルート。こちらを歩いていくと・・・

曲網代岳(まがらじろだけ)分岐点

 ここに出ました。左は山頂直下の急傾斜ルート、右は緩傾斜ルートにつながっています。

四十八谷へ。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台へ

 さて、今日の主目的地の四十八谷へ向かいます。
 ちなみに地名の由来は、島山先端部がハンマーヘッド状になっており、その北東部に48(くらい?)の谷が刻まれている複雑な地形から。

尾根道

 基本的に歩きやすい尾根道を進みます。

四等三角点

 三角点はいちおうチェック。

断崖から海を望む

 一部、急傾斜もあるので注意です。

海を望む

 眺望は抜群ですが、2月なので山が冬枯れ。新緑の季節はさらに気持ちよいと思います。

四十八谷

 四十八谷のハンマーヘッド部です。写真の半島の裏側に、深い谷が刻まれています。

石積み

 謎の石積み。人工物?岩石が自然に風化してできたもの?

石積み

 こちらは人為的な石積み。砲台関係でしょうか?

護岸へ降りる道

 前回、シーカヤックで上陸した護岸へ到着。陸路の場合、この護岸へ降りて行く斜面がまた急でした・・・。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台1

 護岸から斜面を登ると、砲台跡へ。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台・井戸

 砲台に付き物の三点濾過式の井戸です。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台

 弾薬庫は珍しい双子の三角屋根タイプ。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台

 内部はこんな感じ。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台・砲座

 28センチ榴弾砲の砲座は、珍しい6門並列。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台・棲息掩蔽部

 棲息掩蔽部。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台・棲息掩蔽部

 レンガの積み方は、一列の前面が長辺ばかり、次の前面が小口ばかりのイギリス式。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台・車止め

 馬車の車止め、いわば明治時代のガードレールですね。

四十八谷(しじゅうやたに)砲台・海軍用地

 「海軍用地」。
 ほかにもいろいろあったのですが、キリがないので省略・・・・。

海軍・水雷衛所

四十八谷(しじゅうやたに)・海軍衛所1

 そして今回の最終目的地、「海軍水雷衛所」です。
 海に敷設した機雷が、味方の艦船や民間の船を誤爆しないよう、ここでオン・オフを制御していたとか。

四十八谷(しじゅうやたに)・海軍衛所2

 丁寧に積み上げられたレンガが曲線を描き、近代土木建築としても素晴らしいと思います。

四十八谷(しじゅうやたに)・海軍衛所内部1

 内部はこんな感じ。

四十八谷(しじゅうやたに)・海軍衛所内部2

 砲台跡と水雷衛所を堪能したので、ケガをしないよう注意しながら、帰路につきました。いや、こんなところで倒れてても、誰も見つけてくれそうにない からですね(笑)

帰路

 陸路で行けないこともないのですが、登山口から砲台まで片道3.5km(水雷衛所までは+2.3km)あるのと、無名山85mペーク周辺や船着き場の護岸に降りて行く道がかなりの急傾斜だったのがネックでした。

海を望む

 シーカヤックや船で船着き場まで行ければ、四十八谷砲台と海軍水雷衛所をたっぷり楽しめるのですが・・・うーん。

曲網代岳

 逆に、おまけのつもりで訪れた曲網代岳は、歩きやすく、雰囲気のよい山でした。

おまけ

 島山の海祇(わたつみ)神社の狛犬。

島山の海祇(わたつみ)神社の狛犬
島山の海祇(わたつみ)神社の狛犬2

 石田三成の参謀・武将 島左近の墓(伝承)。

島左近の墓
島左近の墓2

 万関(まんぜき)園地のメボシマ山三等三角点。

メボシマ山三等三角点

 万関園地から白嶽・城山(金田城)方向に沈む夕日。

万関園地からの夕日

↓対馬の砲台・要塞に興味があるけど、ちょっとハードルが高いなあ、と思っている方にお勧め。対馬要塞も登場します。