対馬の川の生き物とふれあいビオトープについて

2024/06/19対馬の自然

 こんにちは、ときどき衝動のままに行動し、職場(観光協会)や家庭で変人扱いされているエヌです。

 最近、職場にビオトープを作れないかといろいろやってたら、イケオジと呼ばれるようになりました。

 イケてるおじさんかと思ったら、文字通りの池おじさんでした。(ちっくしょー!!)

ビオトープとは?

 さて、みなさまは「ビオトープ(biotope)」をご存じでしょうか?

 bio(ビオ、バイオ)+topos(トープ、トポス)の造語らしく、生物空間などと訳されます。

 例えばゲンジボタルが生息するためには、ゲンジボタルの幼虫の餌となるカワニナ(淡水貝)が一定数必要で、カワニナが生きるためには山からの養分・有機物(落ち葉など)を含んだ渓流が必要です。

 また、ゲンジボタルが卵を産み付けるためには川辺にコケが、また蛹になるには土が、さらに成虫が隠れて休むためには草むらなどの環境が必要になります。

 日光、土壌、渓流、コケなどの植物、草食・肉食・雑食生物、またそれらの排泄物や死骸の分解者、様々な微生物などがセット(生物群集)となり、バランスを取りながら、生き物の世界は維持されているのです。

ふれあい処つしまビオトープ計画

 で!

 実は、観光情報館ふれあい処つしま(対馬観光物産協会。以下、ふれあい)には池・水路があるのですが、何でも食べてしまうコイが40匹も飼育されており、まるで人類を捕食する無垢の巨人の群れ(進撃の巨人)のような状態で、生物多様性はほぼゼロでした。
 (コイ、子どもには人気なんですけどねー)

観光情報館ふれあい処つしまの三角池とコイ

 このふれあいの水路に生き物の多様性をもたらそう、というのが「ふれあい処つしまビオトープ計画」(ふれビオ)です。
(周辺からは「池オジの池活」と言われています・・・)

対馬の川の生き物

 まずは、川の自然環境を知るために、ふれあい周辺・金石川(かねいしがわ)と、ゲンジボタルが舞う鶏知川(けちがわ)を歩いてみました。

鶏知川のゲンジボタル(2024年5月23日)

 鶏知川流域には、ゲンジボタルが舞い、カワニナ、カワエビ類(スジエビ?)などがうじゃうじゃおり、タカハヤ、シマヨシノボリなどの淡水魚、モクズガニ、クサガメ、ウナギなどが生息しています。

鶏知川: カワニナとスジエビ?
鶏知川: モクズガニ
鶏知川: ヨシノボリの仲間(シマヨシノボリ?)
鶏知川: クサガメ2匹

 ウナギや鮭など、海~川を回遊する生き物は意外と多いのですが、巨大な砂防ダム・堰(せき)などがあると生き物の移動がそこで途切れてしまいます。

鶏知川下流(鶏知中学校付近)

 鶏知川の下流はほぼコンクリート張りですが、意外とでこぼこ・くねくねの魚道?が設定されています。川に降りやすいよう緩傾斜の土手には階段も。

鶏知川中流(焼松付近)

 何十年も前にこの魚道を設計した人がいたんですかねー??

金石川(万松院付近)

 一方、金石川の中流?は雰囲気がよいのですが、すぐ上に大きな砂防ダムがあり、雨が降らないと川底が露出してしまいます。

金石川下流(ふれあい処つしま付近)

 また金石川の下流、ふれあい処つしま付近の川底は平坦で、大雨の時には大量の水が生き物を押し流し、晴れが続くと底面が露出して生き物の住処がなくなるタイプです。

金石川下流(ふれあい処つしま付近)

 茶色の藻(珪藻?)が繁茂し、見た目にも不衛生な感じ(ドブっぽい)が・・・。

金石川下流(ふれあい処つしま付近)

 ここにも、生き物が滞留できるようなでこぼこを作ってあげれば浄化作用で水質もよくなりそうなんですが、それ以前に川に降りる方法がないですね・・・。

昭和30年代?の厳原本川

 こちらはかつての厳原本川(撮影者は、故・阿比留繁蔵さん)。1960年代くらいまで、川での洗濯や水遊びする子どもの姿が見られたとか。

 川が単なる排水路ではなく、地域の財産であった時代の貴重な写真です。

ふれあい処つしまビオトープ

 ちなみに、ふれあいの水路(ふれビオ)は、金石川上流の取水口からパイプで水を引いています。

ふれあいビオトープ上流(三角池)

 上流に、2辺が5mの直角二等辺三角形の池(以下、池)があり、中流~下流は幅・深さそれぞれ50センチの水路が40mほど流れ、末端部のパイプからふたたび金石川に排水されます。

ふれあいビオトープ中流(コイの水路)

 池と水路を仕切り、コイを水路(下流)に移したところ、池(上流)に茶色の藻(珪藻?)が繁茂しはじめました。

金石川の生き物

 池にタカハヤ・エビ・カワニナを投入し、珪藻を食べてくれることを期待したのですが、珪藻の増えるスピードの方が早い・・・。

 コイの遊泳による撹拌作用と採食圧がなくなったことも原因のようです。

(あ、鶏知川からバケツで生き物を移植するのは簡単なのですが、水系によって遺伝子が異なるはずなので、金石川上流から生き物を移しています)

ふれあいビオトープ・三角池(掃除前)
ふれあいビオトープ・三角池(掃除後)

 当面は掃除が必要みたいです。バランスがむずかしい・・・(-_-;)

オモダカ(植物)
オモダカとシオカラトンボ?

 水質浄化と池の色味(笑)のために、金石川で採集したオモダカ(植物)を設置。さっそくトンボが来てましたが、三角池には土がなく、ヒヤシンス状態。定着するのだろうか・・・。

池活日記

 ふれビオの様子を時系列で見ていくと・・・

2024/4/9 金石川・鶏知川の環境調査と生き物の観察。
4/30 池・水路を仕切る。
5/1 エビ類、タカハヤ、ヤゴ(トンボの幼虫)、カワニナなどを金石川上流で採取し、ふれビオに移す。
5/13 池に茶色の藻(珪藻)が増える。1回の掃除でバケツ2杯分ほど。
5/28 タカハヤが卵を産んでいたらしく、稚魚を多数発見。一方、カワニナは稚貝をかなり産むと聞いていたけど増えない。
6/7 金石川からオモダカ(植物)を移す。池には土がないのでヒヤシンス状態だが、定着するのだろうか?
6/10 オモダカにシオカラトンボが何度もやってくる。ヤゴが生まれるかもしれない。 
6/11 ハゼの仲間(ヨシノボリ?)を1匹見つける。どこからやってきた?
6/12 10センチほどのテナガエビを1匹発見。どこから?!

 つづく!!