
春の対馬を彩る花々その3 ~野生ランやウラシマソウの不思議な世界~
こんにちは、島の約9割を覆う森林の新緑が心地よくてソワソワしているエヌです。
この大型連休に、歴史ロマンあふれる金田城(かねだじょう/かなたのき)や、「日本百低山」にも選ばれた白嶽(しらたけ)などを歩く方も多いと思いますが、ぜひ足元にも目を向けてみてくださいね。
国境の島・対馬ならではの春の草花に出逢えるかもしれません。
春の対馬の花々
春の草花を、最近撮影した写真を中心に紹介します。
シュンラン

漢字で書くと「春蘭」。見つけると、何だかホッとする野生ランの一種です。
チゴユリ

花が稚児(ちご)のように可憐、というのが由来のようです。
(が、稚児には歴史的にいろんな意味があるようで・・・)
ハナイカダ

葉の中心に花が咲き(見えます?)、実をつけるという不思議な植物です。
葉をイカダ(筏)に、花を人?に見立てるセンスが昔の人にはあったんでしょうね。
ギンリョウソウ(銀竜草)

葉緑体を失い(捨てた?)、菌類と共生している寄生植物(菌栄養従属植物)。
光合成をしないので、不要になった葉は小さく退化しています。
ディオが人間を捨てたように、ギンリョウソウは光合成を捨てたんでしょうね。(いや、なんでもないです)
イワガサ

対馬での分布はかなり限られますが、自生地のまわり(日当たりのよい岩場)を散策していると意外と多く見かけ、安心しました。
ナンゴクウラシマソウ?

釣り竿のような付属体が特徴のウラシマソウ。(サトイモの仲間で、名前の由来はもちろん浦島太郎)
最近の研究でこの釣り竿の意味が解明され、さらに、この仲間はハエに花粉を運ばせ、しかも用済みになったハエを閉じこめて殺す(一方的に利用する)ということで一部界隈で有名だったのですが、常識を覆す研究結果が公表されており、びっくり。
進化とは利用と共生のせめぎあいなんだなあ、と感じます。
>> ウラシマソウの『竿』の適応的意義を解明(神戸大学2022.06.28)
>> 死の罠が育児室に!テンナンショウとキノコバエの奇妙な関係(神戸大学2024.02.20)
キエビネ

薄暗い樹林下で、そこだけ光るように黄色い花を咲かせる野生ランの一種。
スギ植林下でよく見かけるので、植林地を好むのか?と思っていましたが、元々の生息環境が植林地に変わってもなお生き延びているんでしょうね。
キンラン

キエビネと同じく野生ランの一種。道路横の木漏れ日の下などで見かけます。
最近では、ギンラン、ユウシュンラン、サイハイランなど、他のランもあまり見なくなりました。
キバナハタザオ

中国大陸・朝鮮半島・本州(岡山県~岩手県)、九州では対馬のみに自生する大陸系種で、各地で絶滅危惧種に指定されています。
数が少ない植物は、見るとホッとする反面、今後どうなるのか、不安にもなります。
ヒトツバタゴ

4月下旬、ヒトツバタゴが満開を迎えています。
満開を過ぎると風雨で花が散りやすくなり、春が終わり、そして夏(その前に梅雨、ホタルや光るキノコの季節!)がやってきます。
自然を楽しむことから始めよう
ゴールデンウィークは、対馬中に野鳥が飛び交い、バードウォッチングの愛好者も多く訪れています。
野鳥も植物も昆虫など他の生き物も、まずは気付くこと、そして楽しむことが大事で、そこから自然とのつながりが生まれるのだと思います。
(関心がなければ、それらが失われても、気づくことすらないので)
まずは足元に咲く小さな草花から始めてみませんか?