
沖縄で観た「蒙古が襲来」(三谷幸喜さん)、沖縄と対馬について
こんにちは、みなさま、大型連休はいかがお過ごしだったでしょうか?
(あ、エヌです)
私は、対馬が舞台の「蒙古が襲来」(演出・脚本 三谷幸喜さん)をどうしても観劇したかったのですが、福岡チケットは秒殺(予約サイトすらつながらず)、転売チケットは買いたくないということで、最終公演である沖縄の二次抽選に応募したところ、神引きしました(震えました)。
ゴールデンウィークに独りで沖縄行っていい?と家族に相談すると、滅多にない機会なので行ってこんね、と・・・(涙)

で、飛びました。(対馬がらみですが、ほぼ沖縄ネタなので、興味ある方だけ読んでくださいね)
三谷幸喜さんと対馬
三谷幸喜さんは、人気ドラマ・映画・大河ドラマでもおなじみの人気脚本家なのですが、実は対馬と意外なつながりがあります。
その三谷さんの最新作で、人気絶頂期に解散した「東京サンシャインボーイズ」の30年ぶりの再結成の作品が、対馬の元寇を描く「蒙古が襲来」なのです。
沖縄と対馬
今回のメインの目的は「蒙古が襲来」ですが、せっかくなので沖縄の世界遺産や生き物、戦争や対馬との関連についても学びたい、と思っていました。

公共交通機関としては、「ゆいレール」(モノレール)が「那覇空港駅」と「てだこ浦西駅」を結んでいます。てだこは、てぃだ=太陽、こ=子で、太陽の子(王の敬称)の意味だとか。
1日目は、福州園・対馬丸記念館・波上宮・三重城へ。
対馬丸記念館

対馬丸は、太平洋戦争末期、沖縄から長崎へ向かった学童疎開(避難)船で、1700人以上が乗船し、アメリカの潜水艦・ボーフィン号(異名は「真珠湾の復讐者」)の魚雷攻撃を受け、1400人以上が犠牲となりました。
対馬でも戦後、大陸からの引揚者を乗せた九州郵船の珠丸(たままる)が触雷し、500人以上が犠牲になりましたが、どちらも乗船時の混乱で正確な客数はわからず、実際の犠牲者はずっと多かったようです。
戦争中の緘口令(かんこうれい)また戦後の混乱のため、どちらも大きく報道されなかった点も似ています。
歴史にif(もしも)は無いのでしょうが、もし太平洋戦争を継続していたら、沖縄・九州から米軍が北上し、樺太・北海道からはソ連軍が南下して名古屋あたりで衝突、大日民国と日本民主主義人民共和国に分断され、日本人同士で戦争になる、という朝鮮半島の悲劇が日本でも発生していたかもしれません。
妄想が過ぎるかもしれませんが、国境の島というのは、古代・蒙古襲来の時代から現代まで(おそらく未来も)、時にピリピリと緊張が走る場所なのです。
波上宮(なみのうえぐう)
沖縄の総鎮守で、主祭神は女神・イザナミ。
他の2神(ハヤタマオ、コトサカヲ)もふくめ、あまり南国には似つかわしくない、黄泉(よみ)の国に関連する神々が祀られています。

琉球の神話では、アマミク(アマミキヨ)という女神が、より高位の神の命で島々と人間を創造した、とされており、日本神話のイザナミに同定されたんでしょうね。
沖縄の祭祀においては、男性神官より女性神官・神女の役割が重要であり、より古い形態を残しているようです。(卑弥呼みたいですね)

波上宮は有名な観光地らしく、中国語が飛び交っていましたが(台湾が近いので観光客も多いようです)、海辺から見上げると、いかにも神域といった感じです。

那覇港を守っていた三重城(みえぐすく)の遊歩道。
シーサーと狛犬(こまいぬ)と中国獅子と謎の石獅子

いきなりですが、こちらは波上宮のシーサー?で、

中国風庭園・福州園の中国獅子で、

首里城の狛犬です。
インド・サンスクリット語のシンハー(ライオン)→中国語の獅子→沖縄方言でシーサーだとか。
もともとは左右とも獅子で、中国から伝来したと考えられますが、日本では古い時代に獅子と狛犬(有角)に分化しています。

琉球王 尚(しょう)氏の墓所・玉陵(たまうどぅん)の狛犬にいたっては、

ちょっと得体が知れませんね・・・。(写真は玉陵の資料館から)
首里城(しゅりじょう)

首里城内の聖所。神域・禁足地が樹林になる、という形式は、対馬の茂地(しげち)に似ています。

首里城は戦災で焼け落ち、再建されたものの2019年の大火でふたたび焼失。2026年の完成を目指して再建修理中です。

世界遺産・園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)。
こんなところでお弁当?と思ったら、ノロ(女性祭司)の方だったようです。
たいへん失礼しました・・・。
世界遺産・玉陵(たまうどぅん)
首里城の西に、尚氏の墓所・玉陵があります。こちらも世界遺産の構成要素。

資料館(玉陵奉円館)があり、ボランティアガイドさんもいます。

石造建造物の圧倒的な重厚感。

1501年に築造。国宝に指定されています。

国宝・文化財と一緒に、南方系の植物(ガジュマルやアコウ、オオタニワタリなど)を楽しむことができるのも琉球諸島ならでは、ですね。
城下町・首里金城町の石畳道

実は、今回の一番のお気に入りは、首里城と真珠湊(那覇港)をつないでいた、500年以上の歴史がある古道・真珠道(まだまみち)。

途中の高台にあるカフェ「石畳茶屋 真珠」では、軽食・ランチ・ドリンクなどを楽しめます。
至福のひと時。

樹齢200年以上の大アカギがある、とのことで立ち寄ると、

オキナワキノボリトカゲが樹上から降ってきて、イグアナかと思いました。

市街地にこれだけの密林があるのもすごいのですが、これもやはり信仰の賜物。聖地だから、森が守られるんですね。

水辺の石積みも立派です。井戸端会議の場だったんでしょうね。
国宝展示

那覇市歴史博物館では、調度類・衣類・書物・玉冠などの国宝が期間限定でたくさん公開されていました。

琉球王のみが使用できる金盃や、重要な儀式の際に身につける玉冠など。

中世の琉球王朝は、日本・朝鮮・中国はもとより、フィリピンやインドネシアまで使節を派遣していたようです。
うん、確か、琉球から朝鮮への使節団を対馬の倭寇(海賊)が襲撃するので、たまたま交易のため那覇に来ていた倭寇の頭目・早田六郎次郎の船に便乗して朝鮮に渡ったんじゃなかったかな。
瀬戸内海も同じですが、海賊を利用すれば、海賊に襲われることはないですもんね。
朝鮮海峡~那覇~東南アジアまで、広大な海を舞台とする海賊・交易の時代があったんですね。
蒙古が襲来
そしていよいよ、「蒙古が襲来」(那覇文化芸術劇場なはーと)の開演時間が迫ってきました。

30年前、私は三谷幸喜さんが(後期の)脚本を書いていた「やっぱり猫が好き」(フジテレビ)のイノセントな世界観が好きでした。
同番組が心の拠りどころだった、という人も多く、それが今でも愛されている理由だと思っています。
三谷さんは人気脚本家・映画監督として多方面で大活躍し、人気絶頂で解散した東京サンシャインボーイズの俳優の皆さんもドラマ・映画の常連さんとして立場を確立しています。
※蒙古が襲来・出演(敬称略) 相島一之、阿南健治、伊藤俊人、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子、吉田羊

30年の時を経て、三谷さん作・演出で、対馬の蒙古襲来をテーマとした舞台が制作され、なぜか沖縄でそれを観ていることは、夢のような体験でした。
誰にも訪れる「その時」まで、一所懸命に生きようと思います。

7月からWOWOWでも配信されるようです。チケットが取れず涙した方、舞台を追体験したい方はWOWOWで。メイキング映像も楽しみですね。
和食居酒屋 対州もん

舞台の余韻を味わいながら、晩御飯のお店を探していると、「和食居酒屋 対州もん」の看板が・・・。
どう見てもヤマネコ、対馬出身者やな、と思って入ると、福岡で修業した、厳原町出身Mさんのお店でした。

対馬と沖縄のおいしい料理とお酒をいただけます。
ごちそうさまでした!
識名園(しきなえん)

そして最終日は、尚氏の別邸、世界遺産の識名園(しきなえん)へ。

庭園としてはもちろん、沖縄らしい植生も楽しめます。
沖縄県立博物館・美術館おきみゅー

沖縄県立博物館では、自然史・歴史・文化・沖縄戦などについて学べます。
沖縄・奄美・屋久島・対馬などの島々の植生・生き物の分布には、氷期・間氷期の気温変動と、それによる海水面の上昇・下降が大きく影響しています。
これらの島々と大陸・日本本土がどのようにつながり、離れ、生き物(人も)が移動してきたのか、その旅路を想像するのも楽しみです。

博物館通常展図録と、令和3年度の生物の進化に関する特別展図録を購入したので、ゆっくり読んでみようと思います。
結局、メジャーな観光地である国際通りに行く時間はなく、沖縄観劇ツアーは終わったのでした(笑)
一方そのころ対馬では・・・
この大型連休中は、ヤマショウビンなどの珍鳥が出現し、バーダーのみなさんも大喜びでした。
(対馬野鳥の会のLINEオープンチャットは200名近くが参加し、毎日野鳥情報が飛び交っていました)
5/4(日)パックンさんの「遠くへ行きたい」も放送されました(見逃した方はTVerで!)
5/10(土)23:45~の「ガメラ リバース」(NHK)では、ガメラ対ジグラの決戦の舞台として、対馬が登場します。
ゴーストオブツシマのアニメ化も進行しており(実写版は??)、自然や歴史・文化、食、アニメやゲームなど、ネタは多そう。
「その時」が来るまで、対馬の魅力を伝えながら、一所懸命に生きたいと思います!