
【視察レポート】岡山・兵庫のお城に学んだ3日間
こんにちは、1月があっという間に過ぎ去り、時間の早さに驚愕しているエヌです。
さて、島の暮らしはのんびりしているのですが、いろんな面で「井の中のかわず」になりがちです。
ガイドの世界でも(自信を持つのはよいことなのですが)、客観的な比較対象を持たないまま田舎自慢に陥りがち、という危うさがあります。
そこで!
今回、他地域の取り組みを学ぶこと、知識や技術の向上、成長機会の獲得等を目的に、ガイドさんにお声がけして、岡山県・兵庫県の山城(今年度の重点項目は「お城」)を視察し、山城ガイドを体験してきましたのでレポートです!
視察先の検討
まずは視察先の検討です。
金田城・清水山城などのガイドの参考にするために、以下の条件を設けました。
- 山城であること 公共交通アクセスのよい平城は参考にならないため。
- 対馬との関連性 対馬の山城と歴史背景や築造技術に関連があること。
- 効率的なルート 対馬から2泊3日程度で巡れる設定。
その結果、(大野城・岡城など九州の山城も検討したのですが)、以下の行程になりました。
視察行程
- 2026/1/27(火)
対馬空港8:50発 → 鬼ノ城(きのじょう)/岡山県総社市 → 岡山県高梁市宿泊 - 1/28(水)
備中松山城(びっちゅうまつやまじょう)/岡山県高梁市 → 選択:姫路城または岡山城 → 兵庫県朝来市宿泊 - 1/29(木)
竹田城(たけだじょう)/兵庫県朝来市(竹田) → 対馬空港19:05着
1日目 古代の要塞「鬼ノ城」
まず訪れたのは、7世紀後半に築かれたとされる鬼ノ城(きのじょう)です。

金田城との比較ポイントは、土の城と石の城、城戸の復元(インパクト抜群だが、想像復元部分もあり、賛否両論)です。

鬼城山ビジターセンターの展示も、鬼ノ城のガイド(3時間)も、なんとどちらも無料。

ベテランガイド・岩倉さんの知識・情熱に脱帽したのですが、ガイドさんの鬼ノ城までの移動時間・交通費などもかかるので、善意・情熱に依存しすぎる体制ではないかと、持続可能性の課題を感じました。

メモ
- 標高約400mの鬼城山に築かれた、国内屈指の規模を誇る古代山城。
- 「日本書紀」などの正史に記録がない、神籠石系とよばれる山城。
- 土を突き固めて作る「版築(はんちく)」技法による土塁が全長2.8kmにわたって巡らされている。
- 西門などの城戸が復元されている。
- もともとは日本の城だと思われていたが、火事で石列が露出し、神籠石系山城(古代山城)であることが判明した。
- 「吉備津」の地名は、かつてこのあたりまで海(津=港)であった名残り。
- 温羅(うら)=鬼と、大和朝廷が派遣した四道将軍・吉備津彦(桃太郎のモデル)の伝承が残る。
- 鉄鉱石を使った製鉄が行われていたらしい。火を吹く鬼の伝承と関連?

2日目 天空の城「備中松山城」
天守が残る山城としては日本で最も高い標高(430m)に位置する備中松山城。現存12天守の一つです。

いつも話すぎてしまう、というガイド・竹田さんの話術とキャラクターで、高梁と備中松山城の歴史を楽しく学ぶことができました。

そしてやっぱり時間オーバーしました(笑)
ガイド料は、2時間3,000円(ガイド1名、ゲスト5名)。

猫の城主「さんじゅーろー」は大人気。日本中からファンがやってきます。
メモ
- 明治以降、放置され荒廃していた城跡は、昭和14年、地元の小中学生が瓦運びなどの協力を行い、大修復を達成。
- 天然の断崖・岩盤を利用した石垣が見どころで、真田丸(NHK)のオープニング映像に使用された。(一部はCG)
- 幕末、藩主・板倉勝静は山田方谷(ほうこく)を抜擢し、財政再建・藩政改革に成功。
- 備中高梁駅に隣接した「高梁市立図書館」には、観光案内所・スターバックスがあり、21:00まで営業。おしゃれ(笑)


(午後、姫路城と岡山城は二手に分かれて訪問しましたが、報告はまた後日)
3日目 日本のマチュピチュ「竹田城」
最終日は、実は1月〜2月は「閉山(立入禁止)」の竹田城。

冬季特別ガイドツアーについて
瀬戸内気候で穏やかな鬼ノ城・備中松山城(岡山県)に対し、竹田城(兵庫県朝来市)は日本海気候に属しています。

そのため、冬の寒さは厳しく、積雪が多いのが特徴で、例年、1/4~2/28まで完全閉鎖(立入禁止)になります。

今回は「冬季特別ガイドツアー」(朝来市内等に宿泊&ガイドが条件)に申し込んでみました。
(行程を組んだ後に閉山に気付き、あわてて宿泊地を姫路市から朝来市に変えたのは秘密です)

竹田城跡ボランティアガイドの会長 藤岡さん、顧問 上山さんは、竹田の歴史やお城の専門知識はもちろん、ユーモア・話術・写真撮影のサービスなど「おもてなし」にあふれた名コンビ。

閑散期対策としての意味もあるのでしょうが、安全管理をしつつ、少人数参加で満足度を高める限定ツアーには、「ガイドを頼む意味」が詰まっていました。

ガイド料は、安全管理のため2名体制で、2時間15,000円(ガイド2名、ゲスト5名)。
貸切状態の雪の竹田城であれば、この何倍も払ってもいい、という人もたくさんいると思います。
>>冬の竹田城跡を独り占め!冬季特別ガイドツアー(朝来市観光協会)

メモ
- 標高353mの古城山(虎臥山)の山頂に築かれた総石垣の遺構。
- 羽柴(豊臣)秀吉によって攻め落とされた後、弟の秀長が生野銀山の管理拠点として整備し、城主となった。
- 虎口(出入口)の複雑な構造や、穴太積み(あのうづみ)の技術が光る石垣群がほぼ完存する全国屈指の山城跡。
- 高倉健さんの最後の主演映画「あなたへ」(2012年)のロケ地でもある。
- 江戸時代に生野銀山で一揆が起こり、首謀者のひとりとされた小山弥兵衛ら8人が壱岐に配流となった縁があり、交流が続いている。

宿泊先は「宿屋天空」。
ゆったりとしたお風呂、フリースペース、自炊も可能な設備類など、参加者にも大好評でした。
注意
- 積雪の状態により、ツアーが中止になる場合があります。
- 飲食店は不定期休業・臨時休業(1~2月)の場合があります。
- 竹田駅から最寄りのコンビニ(ローソン)までは1.1kmです。
- 姫路駅~竹田駅の電車は1時間1本程度、90分かかります。
まとめ
今回の視察で強く感じたのは、
- ガイドの重要性
- ガイドを頼む意味をいかに作るか
- 無料ガイドの功罪
- 保全と活用のバランス
- 施設・仕組みの整備
- 最後は人の魅力
ということでした。
竹田城のオーバーツーリズム
2014年には年間58万人、近年も10万人以上が訪問する竹田城。これほどの観光地になると、避けて通れないのがオーバーツーリズム(観光公害)の問題です。
その現状を肌で知ることも目的のひとつだったのですが、今回は空振りだったので、竹田城がこれまでどのような課題に直面し、対策を講じてきたのか、整理してみました。
課題・問題
- 交通インフラのパンク 駐車場不足による違法駐車、深刻な交通渋滞の発生
- 史跡の損傷 多すぎる観光客の踏圧により400年残ってきた石垣が破損
- 観光消費の低迷 お金が落ちる仕組みの不足
- 安全確保 山城での事故・病気の対応
- 季節変動 雲海シーズン(秋・冬)のみに人気が集中し、真冬は閉山
要は、季節・時間的な観光客の過度の集中により、地域や史跡がその圧力に耐えられないこと、観光客の安全・満足度が確保できなくなること、のようです。
対策
- 徹底した交通規制 観光バスの中腹への乗り入れを制限。ふもとの「山城の郷」での乗降を予約・有料制にし、そこからは専用のシャトルバスへ乗り換えてもらう仕組みを導入した。
- 「環境整備協力金」の導入 大人500円の入場料(協力金)を徴収し、史跡の維持管理や修復費用に充てている。
- 安全面の強化 城跡内にAEDを設置するなど、救急体制を整備。
- 雲海(の時期)以外のコンテンツ 冬季限定ツアーの実施など。
移動手段の分散、予約制の導入、季節ごとの観光コンテンツ開発による人流の平準化、史跡保全のための財源確保など、制限と整備を組み合わせた取り組みが見えてきました。
対馬でも、地域・観光客・観光資源・観光事業者それぞれが折り合いをつけながら、観光振興・地域振興を進めていく必要を感じた3日間でした。





