
「スゴイチャケ!平坂寛と行く昆虫観察」(2024/7/28)について
こんにちは、2024/7/28(日)に自然観察イベント「スゴイチャケ!平坂寛と行く昆虫観察」が無事終了し、ほっとしているエヌです。
天候に恵まれ、カブトムシ・クワガタも観察でき、野外でのスライドもいい感じで、何よりもゲスト・平坂寛さん(対馬での観察会は5回目!)の生き物への想いや情熱を感じるイベントになりました。
募集開始からすぐに定員60名を超え、未就学の小さなお子さんも多かったので、定員を減らすとか、2回に分けるなど、対策を考えなければ、と感じています。
(それぞれメリット、デメリットがあるので、悩ましいところですが・・・)
平坂寛さんプロフィール

「生き物を五感で感じること」をモットーに、世界各地の様々な生物を「獲って、触って、食べる」ことをライフワークとしている生物ライター。
1985年9月10日長崎市生まれ、沖縄在住。
対馬での生き物観察会は今回(2024年)で5回目。
釣りの取材での来島もあり、いきなり当協会に「フライパンあります?」と訪問して驚かれることも。
【書籍】
「見たことのないものをつかまえたい! 世界の変な生き物探訪記 (みんなの研究)」 偕成社
「虫への愛が止まらない 刺されて咬まれて食べまくったヤバい探虫記」 実務教育出版
「釣って 食べて 調べる 深海魚 (たくさんのふしぎ傑作集)」 福音館書店 ほか
【メディア出演】 「情熱大陸」(2018年)、「激レアさんを連れてきた。」(2022年)など
【YouTube】 2024年7月現在でフォロワー72万人。→YouTube「平坂寛」
現在のワイルドな平坂さんからは想像できない(殴)、20代の平坂さんの記事と写真(記事最後)はこちら
→ 超かわいいカタツムリを探して(Daily portal Z)
鶏知(けち)ダムに集合

今回の会場は、鶏知(けち)ダム(長崎県対馬市美津島町鷄知甲893)です。
3~4月には花見客で賑わいます。トイレ・駐車場あり。
平坂寛さんの生き物のお話

今回は、ポータブル電源にプロジェクターをつなぎ、軽自動車に白い布団カバーを張って(笑)、スライドを行いました。
平坂さんとの距離も近く、子どもたちも興味しんしん。
夕方はまだ明るかったのですが、スライドもよく見え、解放的でよい雰囲気でした。

生き物ライター平坂さんが重視するのは「実体験」。
電気ウナギに感電したり、グリーンイグアナを食べてみたり、有毒生物に刺されたり・・・。
インターネットに溢れる情報とは一線を画す、これらの「実体験」とその分析が平坂さんの強みであり、魅力なのです。

とはいえ、実際に死にかけたこともあるらしく・・・。
(写真は、70匹のヒマラヤオオミツバチに刺され、アナフィラキシー・ショック状態の平坂さん)
よい子も悪い子も絶対にマネしないように・・・。

「ツシマカブリモドキや!」
子どもたちは大興奮、大人たちは首をかしげる、対馬固有の美しい昆虫です。
夜の昆虫観察会へ
20時近くになると周囲が暗くなってきました。そろそろカブトムシ・クワガタ(=カブ・クワ)が活動を始める時間帯なので、準備を整え、近くの遊歩道に出発です。

事前に仕掛けていたトラップを平坂さんが開けると・・・。(いや、開ける前から子どもたちが大騒ぎ)

カブトムシのオス・メス、コクワガタのオスが見つかりました。

そして一行は、普段歩くことがない夜の森へ・・・

バナナトラップに、ムカデがいました。バナナには、スズメバチなどの危険な昆虫も誘因されるので要注意です。
でも、素手で捕まえる平坂さん。(マネしないで・・・)

アブラゼミ?が羽化する貴重な瞬間も観察できました。夜の観察会ならでは、ですね。
観察会終了時には、翅をまっすぐ伸ばしていました。

こうして、「スゴイチャケ!平坂寛と行く昆虫観察」は無事終了したのでした。
保護者の方もお子さんも、「昆虫採集は昼」というイメージが強かったようで、昼と夜の森の雰囲気や生き物の種類の違いに驚いたようです。
観察会で学んだことを活かし、夏休みはあちこちに出かけて、自然観察を楽しんでくださいね。
平坂さん、参加者の皆さま、ありがとうございました!
スタッフの皆さん、お疲れ様でした!
おまけ

今回はツシマヒラタクワガタは観察できませんでしたが、観察会当日の昼(下見中)に平坂さんが見つけたのがこちら。
大アゴがまっすぐでかっこいいですね。
昆虫採集の方法と注意点
平坂さんのお話にもありましたが、昆虫を見つけるには、昆虫がいつ・どこで・どうやって生きているのか、食性や天敵・餌の活動パターンなどを知る必要があります。
「子どもに昆虫(おもにカブ・クワ)採集をさせたい、対馬に行けばすぐ採れるんですよね?」という問い合わせも多いのですが、樹液が出て、それが発酵している樹木はそう簡単には見つかりません。
特にカブ・クワは、昼は木の洞(うろ)や樹皮の隙間、落ち葉の下に隠れているため、初めての土地ではなかなかハードルが高いと言えます。
そこで!
バナナを発酵させ、そのにおいでカブ・クワをおびき寄せるバナナトラップがよく使われます。

昼に設置するとカラスやツシマテンにトラップごと取られてしまうことが多いので、夕方に設置し、20:30ころから明け方までが観察の機会です。
昼のうちに、観察のしやすさ(宿泊施設からの距離、駐車場やトイレ、安全性、昆虫がいそうな雰囲気など)を確認しておきましょう。
ただし、以下の点に点について配慮をお願いします。
昆虫採取・トラップ設置・飼育のマナー
- 使用後はトラップの回収を忘れずに。
- 今後も昆虫採集を楽しむため、樹皮を剥いだり、洞(うろ)を傷つけない。
- カブ・クワを飼育する場合、最後まで面倒をみましょう。
(カブトムシの寿命は1年程度(成虫は1~3ヶ月)、クワガタは1~3年程度です。他の地域で野外に逃がすと、交雑・遺伝子汚染を引き起こす可能性があります) - 天然記念物や鳥獣保護特別保護区での昆虫採集は法律で禁止されています。
近年、「〇〇島で大量のクワガタをゲット!」などの情報がSNSで拡散されていますが、持続可能な昆虫採集を楽しむために特に以下の点にご注意ください。
- カブ・クワの生息数維持、また子どもたちの楽しみを奪わないために、獲り過ぎに注意(メスは卵を産むので残すなど)。
【参考】
(1) 私たちは昆虫採集にあたって、一般常識を守り、地元の人びとの迷惑にならないように行動する。
① 採集地で人に会ったら、かならず挨拶をする。
② ゴミはかならず持ち帰る。
③ 農地などに踏み込まない。
④ 狭い林道・農道に車を駐車しない。広い場所に車を止め、歩いて採集地へ向かう。
⑤ 採集行動を非難された場合、おだやかに話し合い、理解を求める。
(2) 私たちは健全で節度ある採集をおこなう。
① 昆虫採集をする時は、地域個体群が現状回復できる範囲内での採集を心がけ、特にメスの採集には配慮する。
② 飼育には原則として生息地の食草は利用せず、主に栽培した植物を使う。
③ 採集個体数を競ったり誇示したりしない。
(3) 私たちは昆虫に関して定められている法を守る。