光るキノコ観察会

光るキノコ観察会2025 ~対馬の自然と向き合う夜~

対馬の自然,対馬楽講座

 こんにちは、6/21(土)に「光るキノコ観察会」を終え、ほっとしているエヌです。

 自然相手のイベントは、天候や生き物の発生の状況に大きく左右されるため予測が難しく、毎回ドキドキします。

 まあ、そのハプニング性の高さが自然観察会の魅力であり、醍醐味なのですが(笑)

参加状況と天候

 さて、今回は、光るキノコの発生状況を見ながら短期間での募集でしたが、東京・兵庫・福岡から4名、市内のご家族(小学生以下10名)、生き物の愛好者・専門家など合計45名の方にご参加いただきました。

 梅雨時ということもあり、雨が心配でしたが、幸運にも当日は曇り。

 梅雨入りが遅れた昨年に比べ、今年は5月下旬にはすでにキノコが多数発生しており、イベント直前まで続いた晴天・高温にはヒヤヒヤさせられました。

ミニ講座

 当協会では、イベント・観察会がただの「遠足」に終わらないよう、毎回、講座と現地体験のセットを重視しています。

 プロジェクターを使って、光るキノコ講座を実施しましたが、強風でスクリーン代わりのシーツがはためくハプニングも・・・。

【ミニ講座内容】

  • 代表的な光る生き物
  • 生き物はなぜ光る?
  • どうやって光る?
  • キノコ/光るキノコ
  • 龍良山・原始林とは?
  • 注意事項

龍良山(たてらやま)での観察体験

 龍良山は、縄文時代の西日本の森を感じさせる真の照葉樹原始林です。

 吉田類さんの「にっぽん百低山」にも登場したものの、登山口から先は迷いやすく、植生も専門家向けで(山そのものがオソロシドコロですし)、登山対象としてはそれほど知られてはいませんが、登山口までの林道は歩きやすく自然観察に適しています。

 観察会では、龍良山麓自然公園センターの駐車場に集合し、ミニ講座のあと、環境省ツシマヤマネコ野生順化ステーション(ツシマヤマネコの野生復帰トレーニングを行う施設)前から林道を約500m歩きました。

 明るいとキノコが見えず、暗いと危険なので、小グループに分かれて

  1. ヘッドライト点灯で安全確認、移動
  2. 消灯してキノコ探し
  3. 再点灯して接近
  4. 再消灯してじっくり観察

という流れで進行しました。

 ツシマヒメボタルは多数が確認でき、光るキノコ(シイノトモシビタケ)も観察できました。

 マダラカマドウマやザトウムシが、光るキノコを食べたり運んだりしていたので、これらの生き物を「光」で誘引し、胞子を運んでもらっているのかもしれません。

 子どもたちは、視線が地面に近いこともあり、ホタルやキノコを次々に発見し、歓声をあげていました。

 自分で発見することが喜びの源泉なんですね。

 自然に触れることの大切さを再認識した1日でした。

今回、観察できた生き物

  • ツシマヒメボタル: 多数が出現し、周辺一帯でフラッシュ光を放っていました
  • ゲンジボタル: ごく少数(数頭)確認
  • シイノトモシビタケ: 数十個体(よく探せばまだまだありそう)
  • アキマドボタル(幼虫)/ヤコウタケ: 今回は未確認

 昨年よりは種類・数ともに控えめな結果でしたが、参加者の皆さんには貴重な体験になったようです。

今後の課題

安全確保

 今回は昨年の3倍ほどの参加者数となり、特にお子さんが増えると、安全確保がより重要になります。
 観察中はもちろん、暗い駐車場での車と人の接触事故などにも気をつけねば、と感じました。

開始時間

 真っ暗になってから消灯!→「わあっ!(光ってる!)」の演出がドラマチックなのですが(笑)、遠来の参加者は帰宅が遅くなるため、開始時間を少し早めたほうがよいですね。

イベントの性格と適正人数

 今回は大人数のため、全員で話を聞く状況が最初だけなので講座も詰め込みましたが、観察ツアーの場合は最大でも10人以下に絞り、途中で説明&観察を行った方が、夜の森の雰囲気をより楽しめそうです。

講座内容

 ミニ講座の資料は、ガイド養成用に作成したものだったので、お子さんが多かった今回の観察会の雰囲気には合わなかったような(苦笑)

 保護者も落ち着いて聞けるよう室内で話をするか、野外の場合はお子さま向け(クイズ形式など)にするか、工夫が必要だなあ、と感じました。 

 来年の観察会・ツアーに活かしたいと思います!

 観察会実施にご協力いただいた参加者の皆さま、森林管理署等関係者の方々、スタッフの皆さん、ありがとうございました!

観察時のご注意

・夜間は、ツシママムシ・スズメバチなど危険生物との遭遇、落枝、転倒などの危険性が増します。天気の確認、安全装備(ヘッドライト・長靴・エイドキットなど)が必要です。
・龍良山は、国有林、国指定天然記念物、鳥獣保護特別保護区、遺伝資源保存林などに指定され、動植物(倒木をふくむ)の殺傷・破壊・捕獲・持ち出しなどは法律・条令で禁止されています。
・龍良山原始林でのイベントや調査、取材・撮影に際しては、長崎森林管理署への入林申請が必要です。

おまけ・光るキノコの撮影方法

 参加者の方から「光るキノコを撮影する方法はないの?」というお声をいただきました。

 スマホでもデジカメでも、以下の理由でうまく撮影できませんが、工夫すれば撮影できます。

  • ライトを当てる、フラッシュ使用 → ただの茶色のキノコになる
  • 真っ暗で被写体との距離を測定できない → ピンボケになる
  • 撮影中、スマホ・カメラが動いてしまう → ブレブレの写真になる

スマホの場合

  1. フラッシュをオフにします。
  2. キノコに、スマホが測定できるくらいのごく弱い光を当ててシャッターボタンを押します。
  3. シャッタースピードが落ちて、撮影時に5秒くらいかかるので、スマホが動かないよう、地面に置くか、ミニ三脚を使ってください。

デジカメの場合

  • デジカメにミニ三脚/卓上三脚をつけます。(キノコは地表近くにあるので、大きい三脚は逆に邪魔)
  • フラッシュをオフにします。
  • 撮影モードをオート→マニュアルなどに変更し、オートフォーカス→マニュアルフォーカスに変更します。
  • シャッタースピードを30秒、60秒などに設定します。ISO、F値などは適当に・・・(いろいろ試してみてください)
  • キノコにライトをあて、マニュアルでピント合わせます。
  • ライトを消し、シャッターボタンを押します。(真っ暗闇ですが、時間をかけてキノコの光を集めるので大丈夫)
  • テクニック: シャッターが開いている間に、一瞬だけヘッドライトの明かりを照らすと、倒木や地面などの背景も写りこみます。
  • 光るキノコはホタルと違って、動かないので被写体としては最適です。何度でもトライしてみてください。