対馬要塞地帯標

対馬砲台群を歩く 「竜ノ崎砲台・豆酘砲台編」

2021/07/14対馬砲台群

 こんにちは、観光担当Nです。

 2011年11月25日(金)、韓国旅行ですっかり砲台の毒気が抜けた感のある担当Sを元の世界に引き戻すべく(殴)、厳原町安神(いづはらまちあがみ)の竜ノ崎第2砲台と、同町豆酘(つつ)の豆酘砲台の調査を行いました。

 対馬の砲台は、第1期(日清戦争前、明治20年代)、第2期(日露戦争前後、明治30年代)、第3期(第2次大戦前、大正~昭和10年代)に分類されますが、両砲台は昭和期に完成した第3期の砲台になります。

 安神には竜ノ崎第1・第2の2つの砲台がありますが、第1砲台(30cmカノン2門 起工:大正13年9月、竣工:昭和4年3月)は現在、海上自衛隊下対馬警備所内にあり、立入禁止のため今回の調査から除外しています。

竜ノ崎砲台入り口付近

 第2砲台入口前の、テンション低めのS。

竜ノ崎砲台入り口

 ・・・で、入口がこれ。

 上対馬町豊(とよ)にある豊砲台(40cmカノン、有効射程30キロ)は、ボタンを押せば照明がつき、内部を見学できる珍しい観光施設(というか本物の砲台跡)ですが、

ここは照明なし。懐中電灯が必須、しかも崩壊が激しく自己責任(-_-;)

 ビクビクしながら入ると・・・。

砲台内部

 崩れてる!なんか散乱してる!(@_@;)

砲台内部

 土砂が入ってきてる!(@_@;)

砲台内部

 瓦礫だらけ!もう駄目かも!(@_@;)

砲台探検隊

 お前は川口浩探検隊か!(40代以上限定)

砲台内部

 ・・・あれ?10mほど進むと、もう砲座? ちょっと拍子抜け(殴)

砲台内部

 豊砲台をそのまま小さくしたような砲台でした。

鍾乳石

 ちょっとびっくりしたのが、砲座の上部から垂れてきていた鍾乳石。

鍾乳石

 コンクリートの洞窟内では成長が早いようで、第2次大戦後にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に武装解除されてからわずか数十年の間に、ここまで伸びたんでしょうか。

弾薬庫入り口

 第1砲台は海上自衛隊敷地内で立入りできないため、弾薬庫だけ見学することにしました。入口はこんな感じ。

弾薬庫内部

 地下なのに、めちゃめちゃ広いです。奥にSがいるのがわかりますか?

竜ノ崎砲台

 外部から、砲座の上部に登ってみました。柵がないので、転落に注意。

 明治の砲台のようなレトロ感・デザイン性はなく、昭和の巨砲・豊砲台よりもスケールが小さい、という点で微妙な砲台跡でした。

 竜ノ崎第2砲台 30cmカノン2門 起工:昭和8年8月、竣工:昭和11年3月

※ 有効射程25キロ。目的は、壱岐の砲台との挟撃による対馬海峡制海。

豆酘崎からの眺望

 竜ノ崎砲台の調査が順調に進み、気をよくした砲台部員2名は、対馬南西端の豆酘崎へ。

 豆酘崎は海流を両断するように南西に突き出した岬で、遊歩道が整備されており、対馬を代表する景勝地のひとつです。

 そっちをPRすべきじゃないのか、という声は置いといて(-_-)//

豆酘崎灯台を見上げる

 写真中央左上方に見える豆酘崎灯台は、砲台の観測所跡に昭和62年に建てられたもの。砲台が灯台になったわけです。

豆酘崎灯台

 48キロ先を照らす光量があり、海の難所・豆酘崎沖の航海の安全に貢献しています。

砲座

 灯台下を徘徊、もとい、踏査して見つけた砲座です。

弾薬庫

 弾薬庫の鉄の扉も健在でした。

探照灯格納庫

 探照灯(サーチライト)格納庫は、遊歩道の途中にあります。

 豆酘砲台 2連装15cmカノン4門 起工:昭和11年11月、竣工:昭和14年1月

 ※目的は主に旧ソ連の潜水艦制圧。

アワビの殻

 探索中に見つけた大量の(古い)アワビの殻。大人の手のひらほどもある、現在ではなかなか見れないサイズの殻が散乱していました。

 砲台は重要な軍事施設で、戦前・戦中は周辺での漁が禁止されていたため、砲台近辺の海域は魚介類の宝庫だったようです。

 真偽のほどは不明ですが、戦中に砲台付近が爆撃され、その衝撃で大きなアラ(クエ)が浮いてきて、地元の方のご馳走になった、という笑い話もあるそうです。

 さて、この日最後のターゲットは、内山峠の「アカハラダカ観察所」と龍良山(たてらやま)の間にあるという「対馬要塞地帯標」です。

(前回の「上見坂~有明山縦走トレッキング」の記事にも登場しました)

 楽勝だと思っていましたが、まさかの大苦戦(またかい)。

対馬要塞地帯表

 これが要塞地帯標。1キロくらい先かな?と予想していたところ、三角点を2つ越え、対馬野生生物保護センターが設置したツシマヤマネコの自動撮影カメラに撮影されながら歩き、結局、3.1キロも先にありました(-_-;)

 14:00に出発して、戻ってきたのは16:20。夕暮れが迫っていました。

 ヘッドライトやザイル、GPSなど砲台探検の装備一式はいつも持参しているものの、

「日が暮れて捜索願いとか出されたら、超恥ずかしい・・・」

「夕闇の原生林を徘徊する姿を自動撮影されるなんて嫌だ・・・」

「職員Tから、『車を使いたいので早く帰ってきてください(遊んでないで)』とプレッシャーの電話がかかってきてるのに・・・」

 いろんな不安が頭をよぎりました(-_-;)

内山峠アカハラダカ観察所にて

 ・・・が、あまり懲りているようには見えない砲台部員Sでした。

Googleマップ
>>対馬砲台群・砲台マップ「竜ノ崎砲台・豆酘砲台」

【交通アクセス】

厳原港→(県道24号線を7km南下)→安神四叉路(左:安神集落、中央:内山坂トンネル、右:内山峠)を中央へ→内山坂トンネル入口の分岐点を左(久和方面)へ→安神隧道入口の分岐点を左へ曲がり、道なりに坂道を降りていくと海上自衛隊下対馬警備所に到着。総距離12.5キロ。

Googleマップ
>>厳原港~厳原町安神(あがみ)

 厳原町豆酘(豆酘)まで。

 上記安神四叉路の中央・内山坂トンネルを通過→内山集落を経由して、瀬(せ)集落の河口近くの分岐点を左折、豆酘方面へ→豆酘崎(地元豆酘では豆酘崎のことを「尾崎山」と呼びます)。厳原港からの総距離約25キロ。

Googleマップ
>>厳原港~厳原町豆酘(つつ)・豆酘崎

※対馬空港から厳原港までは国道382号線を南下12キロ。