田崎亀次の傑作を探して ~対馬の狛犬(略)その6~

2025/03/16対馬の狛犬,対馬神社群

 こんにちは、狛犬チェックがだいぶ大詰めを迎えているエヌです。
(いや、お寺や廃社、無人島などにはまだまだありそうですけどね)

 今回は、対馬北東部にある西泊砲台(にしどまりほうだい)の下見に合わせて、東海岸の神社・狛犬を中心に調べてみました。

 本日のゴールは、石工・田崎亀次の最高傑作とされる豊崎神社の狛犬です。

西泊砲台・・・長崎県対馬市上対馬町富ヶ浦(以下、長崎県対馬市を省略)にある昭和期の砲台跡。
詳しくはブログ「葛藤と自問自答と西泊砲台・竹崎砲台について」(2025/2/28)

住吉神社(すみよしじんじゃ)

美津島町鴨居瀬(みつしままちかもいせ)491
>> Googleマップ

 対馬を代表する神社のひとつ、住吉神社(対馬市美津島町鴨居瀬)です。

 鳥居の前は対馬海峡(東水道)で、古代の港・西の漕手も近く、古くからの航路の拠点です。

 お、天保14年(1843年)! 江戸時代の狛犬!
 ・・・と思いましたが、土台は花崗岩、狛犬は砂岩っぽいので、古い土台に新しい狛犬を乗せたのかも。

 江戸時代ではなくても、かなり古そう・・・。確証はないので、難しいケースです。

屋利止加神社(やりしかじんじゃ)

豊玉町鑓川(とよたままちやりかわ)290 >> Googleマップ

 対馬ではよく見られる、鳥居の先が海に面している神社です。(本来は海から船で参拝するため)

 ずんぐりむっくりでかわいい造形、真っ白な花崗岩製です。

 明治31年(1898年)6月吉日。
 造形は愛嬌のある有江型(対馬の石工)なのですが、時代が少し古く、花崗岩製なので別人のようです。

 ちょっと場所がわかりにくいのですが、雰囲気がよく、隠れた人気がある神社です。

天諸羽神社(あめのもろはじんじゃ)

上対馬町一重(かみつしままちひとえ)30-11 >> Googleマップ

 ピッチをあげて、狛犬を中心に紹介します。

大正11年(1922年)1月3日。

宗像神社(むなかたじんじゃ)

上対馬町大増(おおます)730 >> Googleマップ

 道路を挟んで海に面しています。御祭神は、対馬では珍しい宗像三神(三女神)。

 明治6年(1873年)6月吉日。

豊崎神社(とよさきじんじゃ)

上対馬町比田勝(ひたかつ)658 >> Googleマップ

 上対馬町の中心部・比田勝に鎮座する神社で、拝殿が立派!

 御祭神は、古事記に登場する剣神・軍神のフツヌシとタケミカヅチ、元寇・文永の役に際し上対馬で蒙古軍と戦って散った宗下野次郎、豊玉姫。

 そしてここには、対馬の石工・田崎亀次の傑作とされる「出雲構え獅子」型の狛犬があります。
 通常の蹲踞(そんきょ。お座り)型よりも躍動感に富んだデザインです。

 凛々しい横顔。

 戯れる仔獅子。彫刻が細かい・・・。

 通常の配置とは異なり、向かって左が口を開けた阿形(あぎょう)です。
 昭和15年(1940年)11月吉日。亀次、晩年の作品。

 口のなかに玉を残すコロコロ型。迫力ある表情や、あごひげの流れの表現には、亀次の熟練の技術と精神の高みを感じます。(狛犬評論家風)
 亀次の中期の狛犬は、上顎の幅が狭いため割れ落ちているものがありますが、後期になると顔の幅・厚みを持たせ、がっしりとした造形になっています。

 仁位村大石 調(彫)刻師 田崎亀次

 しっぽ。

 この後、西泊砲台を訪れ、さらに南下しながら狛犬を巡ったのですが、ブログが長くなるのでまた・・・。

 次回は、「田崎亀次の狛犬(中期)発見!と不思議なペアの狛犬」の予定です。

(まだ続くのか?!とか言わないで)