
田崎亀次の傑作を探して ~対馬の狛犬(略)その6~
こんにちは、狛犬チェックがだいぶ大詰めを迎えているエヌです。
(いや、お寺や廃社、無人島などにはまだまだありそうですけどね)
今回は、対馬北東部にある西泊砲台(にしどまりほうだい)の下見に合わせて、東海岸の神社・狛犬を中心に調べてみました。
本日のゴールは、石工・田崎亀次の最高傑作とされる豊崎神社の狛犬です。
西泊砲台・・・長崎県対馬市上対馬町富ヶ浦(以下、長崎県対馬市を省略)にある昭和期の砲台跡。
詳しくはブログ「葛藤と自問自答と西泊砲台・竹崎砲台について」(2025/2/28)
住吉神社(すみよしじんじゃ)
美津島町鴨居瀬(みつしままちかもいせ)491
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対馬を代表する神社のひとつ、住吉神社(対馬市美津島町鴨居瀬)です。

鳥居の前は対馬海峡(東水道)で、古代の港・西の漕手も近く、古くからの航路の拠点です。

お、天保14年(1843年)! 江戸時代の狛犬!
・・・と思いましたが、土台は花崗岩、狛犬は砂岩っぽいので、古い土台に新しい狛犬を乗せたのかも。

江戸時代ではなくても、かなり古そう・・・。確証はないので、難しいケースです。
屋利止加神社(やりしかじんじゃ)
豊玉町鑓川(とよたままちやりかわ)290 >> Googleマップ

対馬ではよく見られる、鳥居の先が海に面している神社です。(本来は海から船で参拝するため)

ずんぐりむっくりでかわいい造形、真っ白な花崗岩製です。

明治31年(1898年)6月吉日。
造形は愛嬌のある有江型(対馬の石工)なのですが、時代が少し古く、花崗岩製なので別人のようです。

ちょっと場所がわかりにくいのですが、雰囲気がよく、隠れた人気がある神社です。
天諸羽神社(あめのもろはじんじゃ)
上対馬町一重(かみつしままちひとえ)30-11 >> Googleマップ

ピッチをあげて、狛犬を中心に紹介します。

大正11年(1922年)1月3日。
宗像神社(むなかたじんじゃ)
上対馬町大増(おおます)730 >> Googleマップ

道路を挟んで海に面しています。御祭神は、対馬では珍しい宗像三神(三女神)。

明治6年(1873年)6月吉日。
豊崎神社(とよさきじんじゃ)
上対馬町比田勝(ひたかつ)658 >> Googleマップ

上対馬町の中心部・比田勝に鎮座する神社で、拝殿が立派!
御祭神は、古事記に登場する剣神・軍神のフツヌシとタケミカヅチ、元寇・文永の役に際し上対馬で蒙古軍と戦って散った宗下野次郎、豊玉姫。

そしてここには、対馬の石工・田崎亀次の傑作とされる「出雲構え獅子」型の狛犬があります。
通常の蹲踞(そんきょ。お座り)型よりも躍動感に富んだデザインです。

凛々しい横顔。

戯れる仔獅子。彫刻が細かい・・・。

通常の配置とは異なり、向かって左が口を開けた阿形(あぎょう)です。
昭和15年(1940年)11月吉日。亀次、晩年の作品。

口のなかに玉を残すコロコロ型。迫力ある表情や、あごひげの流れの表現には、亀次の熟練の技術と精神の高みを感じます。(狛犬評論家風)
亀次の中期の狛犬は、上顎の幅が狭いため割れ落ちているものがありますが、後期になると顔の幅・厚みを持たせ、がっしりとした造形になっています。

仁位村大石 調(彫)刻師 田崎亀次

しっぽ。
この後、西泊砲台を訪れ、さらに南下しながら狛犬を巡ったのですが、ブログが長くなるのでまた・・・。
次回は、「田崎亀次の狛犬(中期)発見!と不思議なペアの狛犬」の予定です。
(まだ続くのか?!とか言わないで)