田崎亀次の狛犬(中期)発見!と不思議なペアの狛犬 ~対馬の狛犬(略)その7~

対馬の狛犬,対馬神社群

 こんにちは、3回くらいで終わるはずの狛犬ブログが7回裏ツーアウト満塁くらいになっているエヌです。

 三振したら8回が始まります(もういいって??)

 さて、西泊砲台の下見後、南下しながら狛犬チェックをしたら、田崎亀次の狛犬(中期)と不思議なペアの狛犬を見つけたので報告です。

津和原神社(つわばるじんじゃ)

長崎県対馬市上対馬町津和字津和原736番地 >> Googleマップ
※以下、長崎県対馬市を省略

 立派な石塔です。
 現在の御祭神は、オオナムチ、スクナヒコナ、合祀はスサノオなどの出雲系の神々。

 狛犬は、対馬の他の地域では見たことがないタイプで、明治23年(1870年)、150年以上前に奉納されたもの。

 対馬の古い神社や神山の山頂などでよく見かける寛永通宝。江戸時代に広く使われていた貨幣です。

天神多久頭魂神社(てんじんたくづだまじんじゃ)

上対馬町富浦字在所104番地 >> Googleマップ

 西泊砲台(富浦)を訪問後、集落内の神社を参拝してみると・・・

 古そうな狛犬。そして台座には、「宮原村 石工 ○○郎」の文字が!
 新たな石工の登場ですが、花崗岩の表面が風化し、読めない(涙)

 ちなみに宮原姓は対馬にも多く、また「宮原村」は全国にありますが、海上交通の関係を考えると広島県の宮原村(現・呉市宮原村)でしょうか?

曽根崎神社(そねざきじんじゃ)

上対馬町唐舟志(とうじゅうし)381 >> Googleマップ

 対馬海峡東水道に突き出す半島に鎮座する曽根崎神社です。
 御祭神はスサノオ、その子神のイソタケル。北部には出雲系の神々がよく祀られています。

 特徴は、発達した胸板、胸に鈴、浮き出た肋骨などの細マッチョ(ムキムキ)。
 対馬では珍しい、護国型とか岡崎古代型と呼ばれるタイプの狛犬です。

 昭和47年(1972年)旧6月吉日。

 細マッチョの裏に安置してある先代。
 か、かわいい。

 曽根崎神社の近く、東風防島にある金比羅神社。
 海神を祀るにふさわしい雰囲気です。

胡禄御子神社(ころくみこじんじゃ)

上対馬町琴(きん)3 >> Googleマップ

 神社めぐりをしているうちに、日没が迫ってきました・・・。
 御祭神は海神・ツツノオ三神です。

 うっ、これは造形的に、田崎亀次の中期型・・・。
 大正15年(1926年)旧10月吉日。

 口を閉じた吽形(うんぎょう)。

「石・田崎・・」の文字が見えたので、たまたま持っていたスケッチ帳とクレヨン(なぜ?)で拓本を取ってみると、

 石匠 田崎亀次。
 自分で「匠」って言っちゃいましたね、亀次・・・。

 そしてここに田崎中期型があるということは、山を越えた胡禄神社のあの狛犬も亀次なのね、きっと・・・。

能理刀神社(のりとじんじゃ)

上対馬町芦見(あしみ)274 >> Googleマップ

 もう日没が迫っていましたが、気になっていた芦見の狛犬チェックへ!

 他では見たことがない、カールのロン毛、豊かなあごひげタイプ。
 かっこいい・・・。

 残念ながら、台座には、石工の名前はおろか、奉納年などの情報が一切ありませんでした。

 このカールロン毛狛犬の情報をお持ちの方、ご連絡ください~。

那須加美乃金子神社(なすかみのかなごじんじゃ)

上対馬町小鹿(おしか)520 >> Googleマップ

 こちらの神社には、2組の狛犬があります。
 1組目は鳥居の前のこちら。
 ちなみに御祭神はオオヤヒコ=イソタケル、オオナムチ。
 北東部には出雲系の神々がよく祀られているようです。

 弘化3年(1846年)8月吉日、約180年前の江戸時代の狛犬です。
 普通に参拝すると、拝殿前で帰ってしまうのですが、

 実は本殿横にかなり魅力的な狛犬があります。
 明治13年(1880年)。

 そして伝説へ。
 対馬のスフィンクスと呼びたい。

 無の境地。

 どこかの会社に居そうですね。

 前脚、でかいな・・・。

 下半身のボリュームよ。

 台座には「明治44年(1911年)、奉納者 築城源吉」と刻まれていますが、台座と狛犬の石材が異なるように見えます。

 石で造られた狛犬は、野外に置かれて100年以上の風雪に耐え、いつかは原形を失い、その寿命を終えるのでしょう。

 デザインも年代も異なるこの一対の狛犬には、元はそれぞれ別のパートナーがいたのだと思います。
 何らかの理由で1体ずつになり、神社を守る不思議なペアになったようです。

 何だか不思議な物語を感じませんか?

(え?私だけ?!)