
春の対馬を彩る花々その2 ~ヒトツバタゴと不思議な植物たち~
こんにちは、春の花が咲き誇り、新緑が萌える対馬からエヌです。
対馬は大陸と日本列島の間に位置するため、生き物の分布にも風変わりな特徴があります。
- 大陸系:大陸から対馬まで分布し、対馬以外の日本本土には分布しない。(代表はツシマヤマネコ)
- 日本系:日本本土から対馬まで分布し、朝鮮半島・大陸には分布しない。
- 対馬固有種:世界で対馬だけ。
- その他共通種:大陸・対馬・日本本土いずれにも分布。
大きく分類するとこんな感じなのですが、実際に最近撮影した春の草花を見ていただきながら、紹介します。
オオチョウジガマズミ(大陸系)

ジンチョウゲの仲間で、甘い香りがします。対馬と朝鮮半島に分布。
コバノミツバツツジ(日本系)

静岡・長野以西~九州北部に分布。ゲンカイツツジに続いて咲き、今が見頃です。
ホタルカズラ

全国に分布するようですが、数は少なく、対馬の自生地も限られています。
ヤブレガサ

抜群のネーミングセンスを感じます(笑)
マムシグサ

鎌首をもたげたヘビのようなサトイモの仲間。
ムサシアブミ、ウラシマソウなどの奇妙な仲間たちがいます。
ギンリョウソウ(銀竜草 別名ユウレイソウ)

キノコのようにも見えますが、れっきとした植物(ツツジ科)でありながら葉緑体を捨て、白く透ける姿で、菌と共生する不思議な生き物です。
※今年はまだ見てないので、写真は過去のもの。
ヒトツバタゴ(別名ナンジャモンジャ)

中国・台湾・朝鮮半島、そして対馬北部に多く自生し、愛知・長野・岐阜などに隔離分布する珍しい樹木です。
対馬の春(後半)を代表し、鰐浦(上対馬町鰐浦)の群生地「鰐浦のヒトツバタゴ」は国の天然記念物に指定されています。(写真は過去のもの)
白い花が樹木全体を覆い、海を映えるさまから「ウミテラシ(海照らし)」とも呼ばれ、美しいので全国の公園など(博多駅とか)にも植樹されています。

山下通り(厳原町今屋敷)のヒトツバタゴも咲き始めました!(4月18日現在)
昭和天皇御製 ヒトツバタゴの和歌(昭和57年5月頃)
わが庭の ひとつばたごを 見つつ思う
海のかなたの 対馬の春を
↓歌の背景についてはこちら
※昭和57年のこの御製のお題が「海」らしく、昭和52年の歌会始(お題「海」)との混同が見られるようです。
対馬博物館・植物写真展
対馬博物館では、2025/4/19(土)から来年1/21(水)まで、対馬の自然をこよなく愛した國分英俊先生の植物写真展が開催されます。
会期中に写真の入替をしながらの長期開催になります。
國分英俊写真展 -野山に戯れた趣味人の植物歳時記-
2025年4月19日(土) 〜 2026年1月21日(水) 9:30-17:00
対馬博物館ギャラリー
木曜休館(祝日の場合は翌平日)、無料
春は一瞬です。
写真展で対馬の自然の豊かさに触れ、実際に野を歩いて、個性豊かな草花たちに出会ってみてくださいね。